【神戸市】全国トップレベルの防潮堤 「全長60キロあるらしい」 地元高校生と“うわさ”でPR

「うわさプロジェクト×防潮堤」

2023年に高潮・津波対策として防潮堤を整備した神戸市。そのような防災への取り組みを広く知ってもらおうと、アーティストや若い世代とともに独自のプロジェクトを行っています。

同市が実施しているのは、「うわさ」で防災にまつわる情報を発信するアートプロジェクト「うわさプロジェクト」。このほど、同プロジェクトは地元高校生と協力し取り組んでいるといいます。

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同市は高潮・津波対策を行っており、2018年にポンプ場、2021年に雨水管の整備を完了。これにより、台風の浸水被害が軽減されているといいます。2023年3月には、南海トラフ巨大地震への対策として、全国トップレベルの津波・高潮対策が施された防潮堤が完成しました。

防潮堤は日本全国に設置されていますが、同市の防潮堤は、1000年に1度起きるかもしれないといわれている南海トラフのような大規模地震を想定しており、3.9メートルの津波にも耐えられる仕様になっているのだそう。防潮堤を倒れづらくするために地面はコンクリートで固められており、78基もの防潮鉄扉はタブレットによる遠隔操作で開閉することができます。

そんな、神戸のすごい防潮堤をもっと知ってもらうための取り組みが「うわさプロジェクト」です。プロジェクトを実施しているのは、アーティスト・山本耕一郎氏。防災ジュニアリーダー拠点校として活動している兵庫県立東灘高校(兵庫県神戸市)の生徒とともに、津波高潮対策に関する「うわさ」を考案しています。

同プロジェクトは、防潮堤や防災に関する豆知識を「〜らしいで」という“くだけた”口調で紹介するもので、高校の通学路にもなっている防潮堤に掲示されています。

実際に「うわさ」を考えた生徒は、工夫した点として、「“遠隔操作”において、衛星通信を通して宇宙と交信することのできる仕組みがあるのですが、そういう堅苦しい表現を少しでも寄り添いやすい表現にしようと『宇宙とつながってるらしいで』と表現しました」とコメント。

ほかにも、「防災地域の方と防災について考えるきっかけになるよう、地域の方との取り組みを『うわさ』にしました」と、防災を考えるための話題を考えた生徒もいました。

さらに、「うわさ」作りを通して心境の変化があった生徒もいるようで、このように語りました。

「毎日通っている場所ですが、最初はなにも知らなくて『壁があるな』『これで守ってくれるんかな』いう軽い認識でした。実際に参加してみて、すごく関心や興味を引くものだったので、『防潮堤ってすごいな』と思いました」

津波は、急に発生するだけでなく何度も発生する可能性もあります。自身の住んでいる場所で「どのような地震が起こるのか」「どういった津波が発生するのか」ということは、神戸市の『暮らしの防災ガイド』などで知ることができます。

神戸市港湾局の一色さんは、「自分の地域の最高津波水位や津波到達時間、津波ハザードマップを普段から確認していただき、いざというときにどこに逃げたらいいのかを考えてもらえれば」と呼びかけました。

同プロジェクトについて、一色さんは「いざ見てみるとクスッと笑えるようなおもしろい『うわさ』などもあったりするので、そういったことをきっかけに防災のことを考えてもらえたら」と話します。

プロジェクトに参加した生徒の一人である、兵庫県立東灘高校の早川さんは、「現在、東灘高校では防災活動を行っているのですが、校内活動だけでなく、これからは地域を中心とした活動も行っていきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします」と今後の活動にも触れました。

※ラジオ関西『サンデー神戸』2024年3月31日放送回より

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