“ジムの日”に振り返る「変わり種ジム」3選、「これもジムなの?」進化を続ける地球連邦主力MSのすごさ

画像はバンダイのプラモデル「MG 1/100 RGM-79 ジム」パッケージより

3月9日は「3(ザ)」と「9(ク)」の語呂合わせから「ザクの日」、7月8日は「RX-78-2」の型番から「ガンダムの日」。このように、『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツにはそれぞれ記念日が設けられており、毎年その日はゲームでイベントが行われるなど盛り上がりを見せる。

本日4月6日は「4(ジ)」と「6(ム)」の語呂合わせで「ジムの日」だ。一騎当千のガンダムタイプのモビルスーツは強力だが、アムロ・レイのように優秀で相性が良いパイロットと巡り合わなければ性能を生かした活躍はできないし、1機だけでは活動範囲や作戦も限られてくる。

そう考えると、ある程度量産できて、数を揃えることができる機体……つまりジムこそが、連邦軍の主力モビルスーツだと言えるだろう。

ジムは優秀なモビルスーツで、非常にバリエーションも豊か。中には“非常に個性的”と言わざるをえないような機体も生まれてきた。今回は、そんなジムから生まれた「変わり種のモビルスーツ」を紹介していこう。

■実はガンダムじゃない「水中型ガンダム」

まずは、メカニックデザイン企画『M-MSV』や、メカニカル考証企画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD』に登場する連邦軍の水中専用主力モビルスーツ「水中型ガンダム」。

水中で戦えるようにさまざまな武器を装備し、また敵から見つかりにくい真っ青なボディをした、頭部にツノをはやした“ガンダム顔”のモビルスーツだ。しかし『M-MSV』での設定は、性能不足だった「アクア・ジム」をエースパイロット用に改善した機体となっている。そう、「水中型ガンダム」という名前の反面、実はその中身は「ジム」なのだ。

ガンダムの名を冠するようになった理由も、「見た目がガンダムっぽいから」というものだ。ただし、『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』に登場する「水中型ガンダム」は、ガンダムの派生機である「局地型ガンダム」の設計データを盛り込んでいる。しかし、この機体もやはり「アクア・ジム」をチューンナップしたものに過ぎず、見た目とは裏腹にガンダムとの関係性は薄いと言わざるを得ない。

この機体は、別名「ガンダイバー」とも呼ばれてるのだが、『MSV』作品の知名度ゆえか、『SDガンダム』シリーズには、同じ「ガンダイバー」の名前がついたキャラが複数確認できる。名前関連で変わり種といったら、水中型ガンダムに並ぶモビルスーツは、そうそうないだろう。

■もはやボールの扱いだった「ジェムズガン」

ジムは、『機動戦士ガンダムZZ』で「ジムIII」、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では「ジェガン」と、各作品で発展していき、『機動戦士ガンダムF91』では「ヘビーガン」として登場する。

モビルスーツの小型化が主流となりつつある時代に生まれた「ヘビーガン」は、小型で高機動な機体だ。そのため、「ジェガン」の次世代機ではあるが、結果的には完全な発展機とはならずに、一長一短があるモビルスーツとなった。

その「ヘビーガン」の性能を維持しつつ、保守性を高めたのが『機動戦士Vガンダム』に登場する後継機「ジェムズガン」である。

だが、「ヘビーガン」と同程度の性能ということは、『逆襲のシャア』の時代から、スペックアップはほとんどしていないということだ。「ジェガン」は『F91』の劇中では、時代遅れと言われていて、実際、クロスボーン・バンガードのモビルスーツよりもかなり劣っているという描写が確認できる。

そして、「ジェガン」と同等の性能で『機動戦士Vガンダム』の時代に通用するのかというと、やはり厳しいようで、リガ・ミリティアに身を寄せている少女スージィ・リレーンに「やられるのを待ってるみたい」と言われてしまう。

現場では「まるで作業用だ」という声もあったようで、「ジム」というよりは「ボール」のような扱いを受けてしまった、弱すぎた変わり種である。

■歴史上最後の連邦主力機「フリーダム」

実写ドラマ『G-SAVIOUR(セイバー)』に登場した「フリーダム」は、ジェムズガンの後継機だ。歴史に登場したのは『Gセイバー』の舞台の30年前、宇宙世紀190年代。映像作品の時系列では一番進んでいる時代の地球連邦主力機である。

この頃になると、小型モビルスーツの時代はとうに過ぎており、「フリーダム」はジェムズガンの5倍の重さのモビルスーツとなった。また、宇宙戦国時代の影響による技術の退化で、全天周囲モニターが採用されない機体となった。

と、これだけ見ると、ジェムズガンよりもさらに弱い機体だという印象があるが、当時としては十分な性能と、高い保守性を持った量産機だった。30年経過した『Gセイバー』の劇中でも、多くの稼働機を見ることができるあたり、モビルスーツとしては優秀と考えざるを得ない。

実写版に登場している、宇宙世紀に存在している、他作品の主役のガンダムと名前が被っている……と、こちらもなかなか変わり種ポイントが高い1機だ。

今回紹介した地球連邦主力モビルスーツの変わり種3機は、どれもクセが強いモビルスーツである。地球連邦の量産型モビルスーツは、ほとんどがやられ役で、劇中に一瞬しか登場しないものもあったりするが、1機1機に注目して見ると、ジム系列の壮大な歴史が垣間見れる。それもまた興味深いものである。

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