『涙の女王』に“ヴィンチェンツォ”登場!? ソン・ジュンギ&キム・ジウォンが嬉しい再共演

『涙の女王』がNetflixのグローバルランキング(非英語シリーズ)で1位に輝いた。本作は、キム・スヒョン×キム・ジウォンがW主演を務め、大ヒットメーカーであるパク・ジウンと、こちらもヒット作を連発する『ヴィンチェンツォ』のキム・ヒウォン監督(チャン・ヨンウ監督と共同演出)がスタジオドラゴンと制作したロマンティックコメディ作品だ。

本稿では、第7話、第8話を中心にご紹介したい。(以下、ネタバレあり)

龍頭里村のスーパーの息子である弁護士ペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)は、キム・ジウォン演じる財閥クイーンズグループの“デパートの女王”ホン・ヘインと結婚して3年が経過していた。流産をきっかけに、夫婦の仲は急激に悪化し、小さな不満が積もっていたヒョヌは、ヘインとの離婚を決意する。しかし、ヒョヌがヘインに離婚を言い出そうとした日に、ヘインから余命3カ月だと告白され、夫婦の関係性に変化が現れる。

ヒョヌは、ヘインの病をきっかけに彼女を愛していた気持ちが蘇る。ヘインもまた、ヒョヌが自分を労わってくれることで、ヒョヌへの愛が再燃し、ふたりの気持ちは通じ合う。気持ちも新たに関係を構築できるかに見えた矢先に、クイーンズグループの乗っ取りをたくらむ、投資家ユン・ウンソン(パク・ソンフン)、義妹チョン・ダヘ(イ・ジュビン)、会長の愛人モ・スリ(イ・ミスク)、顧問グレイス・コ(キム・ジュリョン)らの陰謀により、ヒョヌとヘインら家族は窮地に立たされてしまう。

ヘインは、ヒョヌが自分と離婚しようとしていたことを知り、ショックから生きる気力を失くしてしまう。ヒョヌは、そんなヘインの様子を見て、わざとヘインを挑発する。ヒョヌの思惑通り、ヘインはヒョヌを憎むことで生きる力を取り戻し、病と立ち向かう。しかし、ヘインの病状は悪化の途を辿り、ドイツに治療に行ったことも、自分との離婚話も忘れてしまっていた。ヘインは無邪気にヒョヌに「愛している」という言葉をかけるが、ヒョヌは涙し、ヘインに離婚話を思い出させる。ヘインは、ヒョヌの自分への冷酷な仕打ちを思い出し、ヒョヌとの別れを決意する。そして「離婚しよう」と告げるのだった。

ここからふたりは協議離婚をするのだが、そこにヘインの弁護士としてマフィアと噂のある「ヴィンチェンツォ」がやってくる。そう、これは2021年にNetflixで配信され、世界中で人気を博したドラマ『ヴィンチェンツォ』の中で、イタリアンマフィア“カサノファミリー”のコンシリエーレ(顧問弁護士)であるヴィンチェンツォ・カサノを演じたソン・ジュンギのカメオ出演だ。

ヘインの弁護士から呼び出された、ヒョヌと友人の弁護士キム・ヤンギ(ムン・テユ)は、「嫌な予感がする」と言う。そこに『ヴィンチェンツォ』でおなじみのOST「Stopped Time」が流れ(この音楽は、ヴィンチェンツォが悪を懲らしめるための制裁を下す“決めどき”に流れるのだ)、ソン・ジュンギ演じるヴィンチェンツォがスローモーションで登場する。ヴィンチェンツォが帰ってきた瞬間だ。ヒョヌとヤンギもヴィンチェンツォのカッコよさに、風に吹かれるという演出が面白い。

さらに、ヒョヌを一瞥するヴィンチェンツォと彼を見つめるヒョヌの視線が交差するのもたまらない。キム・スヒョンとソン・ジュンギは、2009年の『クリスマスに雪は降るの?』で共演し伝説となったが、同じ画面に収まることはなかった。そんなソン・ジュンギが、2019年に『アスダル年代記』で共演したキム・ジウォン演じるヘインを助けに現れたのだ。

ヴィンチェンツォの姿を見たヤンギの解説が面白い。「彼は恐ろしい」「彼の正体には諸説ある」と言い、「財閥家の末息子だとか、元海外派兵だとか、宇宙船で飛来したとか……」とソン・ジュンギの過去の出演作での役柄を上げて、ヴィンチェンツォを知らないヒョヌに解説するのだ。制作陣の極上の遊び心が存分に発揮されている。

韓国ドラマでは、監督や脚本家、俳優陣の縁から、様々な作品で特別出演があり、視聴者にとっては、お気に入りのキャラクターが違う作品で出てきてくれると、作品が終わっていても、違う時間軸で生きてくれているのかと嬉しくてたまらなくなる。視聴者を喜ばせることにおいて、韓国ドラマ界は妥協しないのだ。

ヴィンチェンツォの決め台詞である「悪は悪として処断を下す」という言葉も聞けて大満足の視聴者も多いだろう(Netflixの字幕では「毒を持って毒を制す」)。物語の折り返し地点に登場し、場を一気にソン・ジュンギの世界へと華麗に引き込んだ見事なヴィンチェンツォに感謝したい。

物語は、ヒョヌとヘインが離婚をしても互いに愛し合う姿を描いていく。一方で、クイーンズグループの乗っ取りが成功し、創業者一族がクイーンズから追い出されてしまうという事態に。モ・スリが会長ホン・マンデ(キム・ガプス)を意のままに操り、息子ユンソンと共に、クイーンズを手中に収めてしまったのだ。行き場を失くしたヘイン一家は、龍頭里村のヒョヌの実家に身を寄せることにする。ここからヒョヌとヘイン一家がヒョヌの家族とともに反撃に転じていくターンになりそうだ。

本作は、現在のふたりの様子とともに、結婚前のふたりを交互に見せながら進んでいく。ふたりが愛を育んでいくそのプロセスは、恋に落ちたカップルが、互いへの想いを募らせていくよくある恋愛だ。ときめきと初々しさを放つヒョヌとヘイン。そんな恋人同士がやがて結婚し、家族へと変化していく。その中で、幾多の試練が訪れ、互いに手を取り合って困難を乗り越えて愛を深めていくのか、手を離してしまうのか、それぞれの数だけの選択があるだろう。

私たちはヒョヌとヘインという一組の愛の形を見守りながら、共に涙し、共感し、学び、祈っている。ヒョヌとヘインの物語は、ハッピーエンドの美しいお伽話として終わるのか、それとも私たちが見たことのない世界へと連れて行ってくれるのだろうか。
(文=リアルサウンド編集部)

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