【4月7日付編集日記】リラックス

 断崖と砂丘 目上の人たちが次々と靴下脱いでゆく(石川美南)。入社してすぐの出張に着想を得て詠まれた。普段は生真面目な先輩たちが喜々とする様子に、思いがけず緊張がほぐれる

 ▼語弊があるかもしれないが、料理研究家が「手抜き」をしていたら、台所に立つのが少し楽になりそう。人気料理家の藤井恵さんはストレスなく弁当を作るために、おかずは3品と決め、手順をパターン化した。しかも、使うのは卵焼き器だけである

 ▼まず副菜の野菜をゆでる。湯を捨てて卵焼きを作り、最後に肉や魚などの主菜を調理する。これを繰り返し、体に弁当作りのパターンを覚えさせたという(「藤井弁当 お弁当はワンパターンでいい!」Gakken)

 ▼卵をきれいに、長方形に焼くだけという宿命から解き放たれ、自由な世界に飛び出した卵焼き器の活躍がまぶしい。藤井さんは毎日のように弁当作りをしている人へ「もっと気楽でいいんだよ」とメッセージを送る

 ▼入社から1週間たち、いよいよ実践という若者も多いだろう。「こうしなければ」と考えすぎ緊張ばかりしていては、いずれ息切れしてしまう。リラックスして軽やかな気持ちで過ごせば、新しい季節がきっと輝く。

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