【4月8日付編集日記】熟成が楽しみ

 人と発酵食の歴史は古い。300万~400万年前には、イモ類の根などを土に埋めて発酵させていたという。火を使い始めたのが80万~100万年前なので、発酵食との関わりの方が長いことになる

 ▼エチオピアのテフという穀物から作るパンケーキ「インジェラ」、カンボジアの大漁期にとれる魚で仕込まれる「パデーク」。世界には時間をかけて培われた多様な発酵文化がある(横山智「世界の発酵食をフィールドワークする」農山漁村文化協会)

 ▼本県も日本酒やしょうゆ、みそなど発酵の文化が根付く土地柄だ。会津若松市はここに着目。日本酒など共通の強みを持ち、かつ物流面など歴史的なつながりがある新潟市とタッグを組み、観光ルートをつくる事業を始めた

 ▼ターゲットは美容と健康に対する関心の高い層や、日本食に興味を抱く外国人。「新しい発酵の旅」をコンセプトにして、おもてなし文化が魅力の会津若松、空港・鉄道などの交通インフラが充実する新潟の相乗効果を生みだそうとしている

 ▼今年は1年かけてモニターツアーなどを行って、ルートを磨き上げる準備の年。取り組みは緒に就いたばかりだが、熟成させた後にどんな仕上がりとなるのか楽しみだ。

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