ザポリッジャ原発に攻撃、国連機関が抑制求める ロシアはウクライナを批判

ウクライナ南部のザポリッジャ原発で7日、ドローン(無人機)による攻撃があり、「重大な原子力事故」のリスクが高まったと、国連の国際原子力機関(IAEA)が警告した。

ザポリッジャ原発は、原子炉6基からなる欧州最大の原発。2022年2月に始まったロシアによるウクライナ本格侵攻の最前線にあり、侵攻直後からロシアが占拠している。

同原発に専門家チームを駐在させているIAEAは7日、原子炉1基などで「ドローン攻撃の物理的影響」があったと発表。原発の安全性は損なわれていないが、「原子炉格納システムの完全性を損ないかねない重大な事故」だと警告した。

同原発のロシア側管理者は、放射線レベルは正常で、深刻な被害はなかったと述べた。

ロシアはこの攻撃で3人が負傷したと説明。背後にウクライナがいると主張した。

ウクライナは関与を否定している。

双方はこれまでたびたび、相手側が同原発を砲撃し、重大な原発事故の危険性を高めていると非難し合っている。

IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、原発の「主要な原子炉格納構造」に「少なくとも3回の直撃」があったと説明。「あってはならないことだ」、「原子力施設に対する攻撃で、軍事的、政治的に利益を得ることなど認められない」と述べた。

グロッシ氏はまた、「危険を顧みないものだ」とドローン攻撃を非難。ザポリッジャ原発の「核の安全と安全保障上の危険が大きく悪化した」と述べた。IAEAはこれまでも繰り返し、こうした攻撃への警告を発している。

ウクライナ軍は関与を否定

今回のザポリッジャ原発での攻撃について、ウクライナ軍情報当局のアンドリイ・ユソフ報道官は、「ウクライナはこの場所でのいかなる武力挑発にも関わっていない」と、同国のニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」に話した。また、同原発は「ロシアに不法占拠されている」と付け加えた。

ユソフ氏はさらに、ロシアは同原発を攻撃することで、核施設、民間人、環境を危険にさらしていると非難した。

IAEAは先月、同原発に常駐する専門家チームが1週間毎日、爆発音を耳にしていたと説明していた。

(英語記事 Ukraine war: UN body urges restraint after Zaporizhzhia nuclear plant hit

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