賛否両論のセブンおにぎり「おかかクリームチーズ」は想像超える美味さだった

セブン-イレブン「直巻おむすび おかかクリームチーズ」

2日に発売されたセブン-イレブンの「おにぎり」新商品「直巻おむすび おかかクリームチーズ」(162円/税込み、以下同)にSNS上では「美味過ぎて秒で食べてしまった」「好き過ぎて毎日食べてる」「個人的にはうーん…でした」「なんか甘くて嫌だった」などと賛否両論の声があがっている。おかかにクリームチーズという組み合わせだけでも意外だが、それを「おにぎり」の具に使うという斬新な商品。果たしてその味とは。そして、おにぎり1個で160円超えという強気の価格だが、コスパはどう評価できるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

毎週のように新商品が投入されるセブン-イレブンのお惣菜。なかでも「おにぎり」は“コンビニ鉄板商品”ゆえに陳列棚でも広いスペースが割かれ、数多くの種類の商品が並べられている。セブンの「おにぎり」へのこだわりは強い。現在は「手巻きおにぎり」「直巻おむすび」「その他のおむすび」あわせて計5種類以上もの「おにぎり」を販売(関東エリア)。米は「おにぎり」に合う品種、産地を厳選し独自の品質基準に合格したものだけを選定し、産地と複数年契約を行い、その地域の一等米とよばれる優良な米を中心に仕入れている。産地や銘柄を訴求した商品については、他品種が混じることがないように管理し、定期的にDNA検査や同位体検査を実施し、問題がないことを確認。セブンで特別に選定した精米機を使って「低温精米」を実施。手づくりの「おにぎり」を再現するために専用の機械を使用し、手で握ったように外はしっかり、中はふっくらとなるように握り、一口目から具材が感じられるように具材の入れ方も工夫されている。

なかでも現在展開中のキャンペーン「京の米老舗 八代目儀兵衛監修 おにぎり」は、京都の老舗米問屋「八代目儀兵衛」監修のもと、「こだわり尽くした至高のおむすび」を開発。計10種類の「おにぎり」を揃えている。

あまり冒険をしないセブン

そんなセブンの「おにぎり」で今、“議論”を呼んでいるのが今月2日に発売された「直巻おむすび おかかクリームチーズ」だ。おかか(鰹)とクリームチーズと白米という意外な組み合わせの商品だけに、SNS上では以下のようにさまざまな声が寄せられているのだ。

<美味すぎて3口で消える>

<美味すぎない?一瞬で手元から消えたんだけど>

<おかかの記憶しかない>

<甘くて嫌だった>

どのような味なのか。そして、160円超えということを勘案すると、コスパはどう評価できるのか。年間1500種類以上のコンビニ飯を食べるコンビニグルメ研究家でサイト「いぬきちのコンビニ飯」を運営する「いぬきち」氏に聞いた。

「クリームチーズのなめらかさと、おかかの塩味があって想像を超える美味しさです。ただ、感動的というのではなく、マイナスのイメージからの美味しさです。セブンには他にも美味しい具材の『おにぎり』は多数あると思います。

コスパですが、同じ直巻おむすびだと『直巻おむすび 旨辛野沢菜』が151.20円、オーソドックスな『直巻おむすび 焼しゃけ』が140.40円、同じような変わり種系の『直巻おむすび たらこバター醤油』が156.60円であることを考えると、コスパとしては微妙なラインではあると思います。ただ、これまで食べたことのない味わいであると考えると、『直巻おむすび 高菜チャーシューマヨネーズ』(162円)などもあるので、けっしてコスパが悪過ぎるというわけではないと思います」

おかかにクリームチーズという組み合わせは、珍しいようにも感じるが、現在のコンビニのおにぎりでは、それほど珍しくもないのか。

「変わり種の『おにぎり』は常にどのコンビニも販売していますが、セブンはあまり冒険をしない印象です。もちろん、まったく冒険しないわけではなく、『明太クリームチーズ』や手巻寿司の『ベーコンクリームチーズ』などの例もあります。今回の商品は過去の具材を引っ張ってきたという表現が正しいように思えます。

コンビニのなかではミニストップが一番冒険しており、その次がファミリーマート、その次がローソン、最後がセブンという印象です。ミニストップは少し前には鳥羽周作シェフ監修の『タレまぶしツナマヨネーズ.』を出すなど、バラエティに富んでいます。ファミマには『かに玉』がのった『永谷園監修 広東風かに玉味おむすび』や日清食品とのコラボ商品『U.F.O.濃い濃い濃厚そばめし』『どんぎつねむすび』がありました。9日には日清とのコラボが約1年ぶりに開催されて『どん兵衛 天ぷらむすび』が発売されます。ローソンには2日に発売された『具!おにぎり まるで明太のり弁』や包装用品のシモジマとコラボした『シモジマコラボ カラフルおにぎり』があります」(いぬきち氏)

過去にもセブンからは「おかかクリームチーズ」系のおにぎりが発売されていたが、それらとの違いとは。

「セブンでは過去に『玄米むすび おかかクリームチーズ』(2022年5月/129.60円)や『発芽雑穀米おむすび おかかクリームチーズ』(22年3月/135円)が販売されていましたが、玄米や発芽雑穀米が使用されており、健康志向の商品に位置付けられていた印象です」(いぬきち氏)

お米の美味しさがセブンの特徴

コンビニチェーンの「おにぎり」のなかでセブンの「おにぎり」の特徴とは。

「お米の美味しさだと思います。現在では八代目儀兵衛監修のブレンド米を使った『おにぎり』が主流になっており、この『おにぎり』は海苔を巻かないのが特徴で(例外あり)、京都由来の具材(万願寺唐辛子やしそちりめんなど)が使われていました。今年3月19日発売の同シリーズではサーモンハラスや熟成いくらなど一般的な具材となっています。これまではセブンの『おにぎり』は新潟県産コシヒカリが主流でしたが、八代目儀兵衛監修シリーズはブレンド米を使用しており、かなり力が入っていると思います」(いぬきち氏)

セブンの「おにぎり」はサイズが小さくて価格が高めだという評判もあるが、コスパを考えると、他チェーンに比べて割高という面はあるのか。

「個人的にはピンキリだと思います。ファミマやローソンは大きいサイズの商品を出したり、変わり種を扱うことが多いですが、セブンはそういったことはあまりしません。最近の例ではローソンの『具!おにぎり まるで明太のり弁』(322円)やファミマのインパクト抜群の『サンドおむすび 豚キムチ(チェダーチーズ入り)』(298円)がありますが、セブンはこういった奇抜な商品はあまり出しません。300円というのは『おにぎり』としては割高ですが、これらに比べればセブンの価格は普通といえるでしょう。

セブンでは八代目儀兵衛監修シリーズや、持続可能な原材料調達として代替食材などを使用する『みらいデリ』など素材にこだわる傾向があり、コストがかかるので、どうしても他チェーンと比べると高くなりがちな部分もあると思います」(いぬきち氏)

では、コンビニチェーンの「おにぎり」のなかで、イチオシの商品はあるか。

「セブンだと不定期販売の『わさびめし』『しょうがめし』『かつおめし』などシンプルな具材とだしで炊いたおむすび『だし飯』系がオススメです。ファミマでは具材がたっぷりと入った『具だくさん』シリーズや高級食材を使った『ごちむすび』シリーズ。ローソンでは同じく高級食材を使った『金しゃりおにぎり』シリーズや、富山県産の富富富や秋田県産のサキホコレ、北海道産ゆめぴりかなど有名ブランド米を使った『日本おこめぐり』がおすすめです」

(文=Business Journal編集部、協力=いぬきち/コンビニグルメ研究家)

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