中欧スロヴァキア、大統領に親ロシア派のペレグリニ氏

中欧スロヴァキアで6日、大統領選挙の決選投票があり、ポピュリストのペテル・ペレグリニ元首相(48)が当選した。リベラル派のズザナ・チャプトヴァ氏の後任となる。

ペレグリニ氏は53%を得票し、親欧米の対立候補イヴァン・コルチョク元外相を破った。

ペレグリニ氏はロベルト・フィツォ首相に近い。同首相はロシアに穏健的で、ペレグリニ氏もそうした姿勢を共有している。

今回の結果により、フィツォ氏の勢力は議会、政府、大統領府のすべてを掌握することになる。

ウクライナ支援の声が消える

スロヴァキアはかつて、ウクライナの協力な支援国だった。しかし昨年10月、ウクライナへの軍事支援の停止を公約を掲げたフィツォ氏が首相に復帰した。

チャプトヴァ大統領はウクライナ支援を表明し続けたが、ペレグリニ氏が新大統領に就任することで、ウクライナは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるスロヴァキアからの支持を決定的に失うことになる。

フィツォ氏はウクライナでの戦争をめぐり、同国への西側の軍事支援の停止、即時停戦、ロシアとの和平交渉を求めている。最近では、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「不当に悪魔化されている」と主張。ウクライナのNATO加盟は第3次世界大戦の始まりになると訴えた。

ロシアに好意的なこうした姿勢を、ペレグリニ氏は自身の選挙運動に反映。対立候補のコルチョク氏を、スロヴァキア兵をウクライナに送り込む主戦論者だと非難した。

ペレグリニ氏は7日、「スロヴァキアが戦争の側ではなく、平和の側にあり続けるようにする」と宣言した。

一方、コルチョク氏は、ペレグリニ氏の選挙戦術に対して怒りを表明。選挙結果を決定づけたのは恐怖であり、「その恐怖は国家の地位に隠れている人々が広めた」と主張した。

(英語記事 Peter Pellegrini: Russia-friendly populist elected Slovak president

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