大学生が「フリーランス」を目指す理由まとめ
近年、「フリーランス」は多くの人にとって聞き慣れた言葉になりつつあります。多様な働き方が認められている昨今、企業や公的機関に属さず、自分のスキルや経験を活かして生計を立てる人が増えています。
大都市圏では共有オフィスや1時間単位で利用できるレンタル個室、長時間の滞在が認められているカフェなどが充実していますが、これらのサービスはフリーランスの利用も想定されています。
フリーランスといえども働き方は人によって異なるため一概には言えないものの、勤務時間が定められていないケースも少なくありません。
自由が多く、かつ人間関係の煩わしさも少ない傾向にあるフリーランスは、若い世代からも注目されています。
とはいえ、フリーランスには社会保障の手薄さ、将来受け取れる年金の少なさ、さらには安定しない雇用形態などデメリットもあります。
本記事では、大学生の我が子がフリーランスを希望した場合に親としてどのようにアドバイスをするべきなのか考えていきましょう。記事の後半では、
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大学生がフリーランスを目指したいと考える理由とは?
フリーランスとして生計を立てていきたいと考える理由は人によって異なるため一概に言えるものではありません。
とはいえども、フリーランスを目指す若い者は以下のような理由をもっていることが多い傾向にあります。
- 実現したい目標がある
- 自分のスキルや経験を存分に活かしたい
- 企業に所属してではなく、個人で稼ぎたい
- さまざまなことにチャレンジしたい
- 自分に合う企業がない
- 就職活動に失敗した
- 就活をしたが希望の内定を得られなかった
- プライベートを優先したい
自分の力や才能を信じて可能性に賭けたいタイプの人、会社員という枠に収まらずどんどんチャレンジしたいタイプの人もいます。
一方、就活がうまくいかなかったなどの理由から、興味のない企業で働くよりは自分のペースで働けるフリーランスの方が……と考える人もいます。
我が子がフリーランスを希望している場合、その理由にまずは耳を傾けることが大切です。
フリーランスの平均年齢は50歳を超えている!?
リクルートワークス「データで見る日本のフリーランス」によると、フリーランスの平均年齢は55.4歳です。
近年、若者の間でフリーランスが一種のトレンドのようにも見受けられますが、実際のところフリーランスの平均年齢は50歳を超えています。
さまざまな経験をし、高いスキルや技術を備えた人がフリーランスに転身する傾向にあります。
現在、フリーランスとして働いている人でも企業で長年勤務していた人、新卒時に就職活動を経験した人がほとんどでしょう。
フリーランスの仕事獲得経路として「人脈」が最多
フリーランスの実態を詳しく知らない人にとって、フリーランスはどこから仕事を得ているのか疑問を抱いている人も多くいます。
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2023」では「最も収入が得られる仕事獲得経路」が明らかになっています。
【図表1】によると、「人脈」がもっとも多く、「過去・現在の取引先」が続いています。
フリーランスの多くが正社員時代に在籍していた企業や当時の取引先、過去に築き上げた人脈から仕事を得ています。
近年では「求人広告」「クラウドソーシング」が充実しているため、人脈がまったくない人でも仕事を獲得できます。
とはいえ、仕事を獲得するための選択肢が限られます。また、求人を一般公開している企業であっても経験の浅い人を歓迎しているわけではなく、経験豊富な人に頼む傾向にあります。
このため、新卒フリーランスはまずはどこで経験を積むか、実績をつくっていくかが問題になってきます。
フリーランスの年収事情
同調査では、フリーランスの年収についても明らかになっています。
もっとも多い平均年収は「200-400万円未満」となっており、全体の3割近くを占めています。
また、「200万円未満」と回答した人も約2割と少なくありません。年収400万円未満の人は全体の半数程度になります。
近年における日本人の平均年収は450万円前後のため、フリーランスとして平均年収を達成するのは容易ではないといえるでしょう。
ただし、800万円以上の年収の人も全体の2割程度います。フリーランスとしての適正がある人であれば、会社員時代よりも稼げる見込みもないわけではありません。
新卒でフリーランスになる際の注意点
ここでは、新卒からフリーランスになる際の注意点を確認していきましょう。
就労経験がないまま歳を重ねてしまうかもしれない
フリーランスとして仕事を次々に獲得し、成果を上げられれば将来的にも独立して暮らせる可能性が高いでしょう。
あるいは、さまざまな仕事を経験できれば正社員に転身できるかもしれません。
しかし、4月からフリーランスデビューしたものの仕事を獲得できなければ、5月、6月、7月と時間ばかりが経ってしまうことになります。
この場合、新卒後、空白期間ができてしまい、就活で不利になることもあります。
会社員よりも将来受け取れる年金が少ない
会社員や公務員と比べて、フリーランスは年金受給額が低い傾向にあります。フリーランスは「国民年金」のみに加入するケースが多いため、受給額は「厚生年金」などにも加入できる人たちと比べて低くなります。
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金・国民年金の受給額の平均額は以下になります。
国民年金の約5万円で1カ月生計を立てるのはなかなか大変なことです。
一方、同調査における厚生年金の全体の平均年金の月額は14万3973円となっています。国民年金と厚生年金では受給額に3倍近い差があるといえます。
クレジットカードの審査や住宅ローンの審査で不利
大学を卒業し、自分で生計を立てられるようになったら、「クレジットカードをつくりたい」「住宅ローンを組みたい」といった思いも出てくるはずです。
しかし、フリーランスは不安定な雇用形態であることから、金融機関の審査において不利といわれています。
会社員の友人と同じ年収であっても、その友人は審査にパスし、自分は落ちてしまうということもありえます。
まとめにかえて
フリーランスには「自由度が高い」「自分のスキルや才能を存分に発揮できる」といったプラスのイメージもあります。
しかし、フリーランスには正社員では考えがたいデメリットがあることも忘れてはいけません。
大学を卒業し、フリーランスになるのも1つの選択かもしれません。しかし、フリーランスになってみたものの「仕事がない」「収入が突然途絶え、貯蓄もない」といった事態に陥る可能性もあります。
職種にもよるもののフリーランスは経験こそ財産。年齢が若い方が有利ということは多くないため、企業で働く経験を若いうちにしておくのも選択肢として検討してみるのもよいでしょう。
参考資料
- プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2023」
- リクルートワークス「データで見る日本のフリーランス」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」