絶滅危惧種アマミトゲネズミの一般公開始まる 神戸どうぶつ王国 バックヤードで約5年間、飼育繁殖

アマミトゲネズミ

天然記念物で絶滅危惧種の「アマミトゲネズミ」の一般公開がこのほど「神戸どうぶつ王国」(神戸市中央区)で始まった。神戸どうぶつ王国のほか、国内3か所の動物園で同日から公開している。同園によると、アマミトゲネズミが動物関連施設で公開されるのは今回が初めてという。

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アマミトゲネズミはげっ歯目ネズミ科に分類され、体長約10~15センチ、体重は100~140グラム程度。奄美大島の森林に生息し、夜行性で、シイの実や昆虫などを食べる。天敵から身を守るために高くジャンプして逃げる性質があり、背中を覆う固いトゲ状の毛が名前の由来。オスを決定するY染色体を持たないにもかかわらず、オスが存在することがほかの哺乳類と異なるユニークな点だ。

神戸どうぶつ王国は、環境省と日本動物園水族館協会(JAZA)による「絶滅危惧種トゲネズミ類生息域外保全実施計画」に2019年7月から参加。約5年にわたり、バックヤードでアマミトゲネズミの飼育と繁殖を行ってきた。現在は8頭を飼育している。

生息域外保全計画では、神戸どうぶつ王国を含む全8施設が連携。今回、同じタイミングで公開を行うのはそのうち4施設で、同園以外に「宮崎市フェニックス自然動物園」(宮崎市)、「平川動物公園」(鹿児島市)、「埼玉県こども動物自然公園」(埼玉県)で実施している。飼育技術が安定し公開可能と判断、普及活動を目的として展示をスタートしたという。

神戸どうぶつ王国では、活発なオス1頭を、夜行性の生きものを集めたエリア「モモンガの夜~夜の動物たちの世界~」にて展示。飼育を担当する田中秀太動物管理課係長は「アマミノトゲネズミは注目されにくい動物だが希少価値が高く、国と各動物園が長い時間をかけて保全のために努力している。多くの人にその取り組みを知ってほしい。そして展示を通して、すべての動物と、私たちが生きる地球を大切に思う気持ちを持ってもらえたら」と語る。

また、同計画に参画している施設はほとんどが公立で、完全民間運営の動物園は神戸どうぶつ王国だけという。同園は昨年1月、民間の動物園で初めて環境省から「希少種保全動植物園」の認定を受けた。同園広報担当の宮本江津子副支配人は「野生動物の保護や増殖などの活動が評価された。環境や生態系を守ろうという強い意思を持っていた佐藤哲也前園長(3月に死去)の功績が大きい。これからも引き続き動物の保全と普及活動に取り組んでいきたい」と話している。

神戸どうぶつ王国の営業時間は午前10時~午後5時(最終入園は午後4時半)。

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