奨学金の返済が苦しいです。もし返済できなくなったら、深刻な事態に陥るのでしょうか?

奨学金が返済できないとどうなる?

奨学金には給付型と貸与型があり、貸与型は社会人になってから返済義務があります。本項では、何らかの理由で奨学金の返済が滞った場合、どのような不具合が生じるのか、日本学生支援機構の奨学金を例にとって説明します。

延滞金が発生する

奨学金の返済が滞った場合、延滞金が加算されます。延滞金の額は、第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付き)で変わるので確認しておきましょう。(独)日本学生支援機構の場合、延滞金は最大で年10%です。100万円借りた場合は、最大で年10万円の延滞金が発生します。

支払いが滞るほど、返済額が増えていくので負担がより重くなります。無利子の場合も延滞金は発生するので注意してください。

本人だけでなく保証人や連帯保証人に督促が行われる

奨学金の返済が滞ると、本人だけでなく保証人や連帯保証人にも督促が行きます。保証人や連帯保証人は奨学金を借りる人を信頼して引き受けてくれたはずなので、信頼を裏切ることにもなるでしょう。

また、勤務先に電話をする場合もあります。はっきりと督促であると言われることはありませんが、何度も電話が来ればなぜ電話が来るのか、上司などに問われることもあるでしょう。

一括返還請求や強制執行が行われる

督促が来ても奨学金の支払いがされない場合、一括返還請求や強制執行が行われる場合もあります。一括返還請求とは、文字通り残りの奨学金を一括で支払うように求められることです。人によっては、数百万の場合もあるでしょう。

支払われない場合、最終的には給与や貯金の差し押さえなどの強制執行が行われます。給与が差し押さえられれば、日常生活や将来の結婚、住宅購入などにも支障が出てしまいます。

信用情報に傷がつく恐れもある

貸与型奨学金は返済義務が生じるといった点で、ローンと同じです。支払いが滞った場合、信用情報に傷がつく恐れもあるでしょう。信用情報に傷がついた場合、5~10年ほど新しいローンが組みにくくなる、クレジットカードが作れないといった弊害が出ます。

特に、住宅ローンを組みたい場合、信用情報に傷がついていると審査に通らない場合もあるでしょう。ライフプランに支障が出る恐れもあります。

奨学金が払えなくなった場合の対処法

奨学金は、額によっては10年以上の長期にわたる返済が必要です。返済していく途中で経済的に困窮したり、出費が一時的に増えたりして返済が難しくなる場合もあるでしょう。

日本学生支援機構では、奨学金が払えなくなった場合に「減額返済制度」や「返還期限猶予」などの救済措置を設けています。減額返済制度は奨学金の返済額を一時的に減らす措置、返還期限猶予とは、一時的に返済を猶予してくれる制度です。

ただし、これらはあくまでも一時的な措置であり、返済の免除や減額がされるわけではありません。また、2つの制度にはそれぞれ適用期間があり、減額返済制度は最長15年、返還期限猶予は10年です。救済の制度が利用できても、その後の返済はしっかり計画を立てて行いましょう。

奨学金の返済が難しくなったら早めに相談しよう

奨学金は、経済的に余裕がない方でも進学資金を準備できる制度です。しかし、借りた額などによっては社会人になってからの返済が難しくなる場合もあるでしょう。

返済が困難な場合、支払いを減額してもらったり、一時的に支払い猶予の措置を受けたりできる制度があります。黙ったまま滞納してしまうと、督促が来たり信用情報が傷ついたりして、日常生活や将来のライフプランにも支障を来してしまいます。さまざまな事情で返済が苦しいときは一人で悩まず、早めに相談して対処しましょう。

出典

独立行政法人日本学生支援機構

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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