「iPS心臓」、万博でパソナが展示へ ミニチュアサイズを初公開 阪大・澤教授ら開発

開発中のiPS心臓=大阪府吹田市、大阪大学

 人材サービス大手のパソナグループ(東京)は、2025年大阪・関西万博に出展するパビリオンで、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いてつくる「iPS心臓」を展示する。iPS細胞を使った再生医療の第一人者で、パビリオンのエグゼクティブプロデューサーを務める澤芳樹・大阪大名誉教授が8日、研究の途中段階のiPS心臓を同大で初公開した。

 パビリオンは、「いのち、ありがとう。」をコンセプトに、医療と「いのち」の未来を創る新たなテクノロジーの可能性を発信する。iPS心臓は、澤氏が最高技術責任者として参画する先端医療ベンチャーのクオリプス(東京)が開発を進めている。

 公開された「心臓」は、指先程度のミニチュアサイズ。スポンジ状の物質にiPS心筋細胞を注入した「心臓の立体モデル」(澤氏)で、実際の心臓とは置き換えられず、あくまで展示用という。

 iPS細胞を使った心臓の再生医療としては、虚血性心筋症の患者の心臓に貼ると機能回復が期待できるiPS心筋シートが既に実用化されている。このシートの働きを立体で端的に示すため、iPS心臓の開発に着手した。この日は拍動しなかったが、万博では培養液の中で拍動する様子の展示を目指すという。

 また、併せて公開したiPS心筋シートは直径2センチ、厚さ0.1ミリで、培養液の中で拍動した。心筋シートは大阪府・市のパビリオンで展示される予定。

 「拍動を見て、いのちの大切さ、躍動感を改めて感じてもらいたい」と澤氏。パソナのパビリオンは万博閉幕後、淡路島への移設が計画されている。(西井由比子)

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