【2023年で引退した名選手④】故障と復帰を繰り返した「ドラフト史上最高の選手」の終焉

「ドラフト史上最高の選手」として全米の注目を集め、2019年にはナショナルズをチーム史上初の世界一へ導く立役者にもなったスティーブン・ストラスバーグ。故障と復活を繰り返した「ガラスのエース」がその短くも強烈な輝きを放った現役生活に幕を閉じた。

サンディエゴ州立大学時代の2008年にアマチュア選手でただ1人、北京オリンピックのアメリカ代表に参加し、「ドラフト史上最高の選手」として全米の注目を集めたスティーブン・ストラスバーグ。2009年のドラフト1巡目(全体1位)で指名されたナショナルズと当時のドラフト史上最高額となる4年1510万ドル(約22億円)で契約に合意した。

その実力は2010年6月のメジャーデビュー戦でも発揮され、7回を投げて14奪三振を記録する鮮烈なデビューを飾った。以降も好投を続け、デビューから4試合で41奪三振というメジャー記録を樹立する。しかし、8月に右ひじを痛めてトミー・ジョン手術を受け、2011年9月に復帰した。2012年は開幕からローテーション入りし、故障明けを考慮したイニング制限のため28先発にとどまったが、それでも15勝を挙げ、オールスター・ゲームにも選ばれた。

2012年から2019年までの8シーズンで7度の2ケタ勝利をマークするなど、エース格の働きを見せ、2014年に最多奪三振、2019年には自己最多の18勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得する。そして、ストラスバーグと言えば、2019年のポストシーズンで見せた獅子奮迅の大活躍だろう。ポストシーズンだけでなんと5勝を挙げ、ワールドシリーズMVPに輝くなど、ナショナルズをチーム史上初の世界一に導く立役者として豪腕を振るった。

そんな全盛期においてもストラスバーグには常に故障が付きまとっていた。世界一の翌年には右手首の神経が圧迫される手根管症候群と診断されて手術。また、2021年には胸郭出口症候群の手術を受けるなど、手術とリハビリを繰り返した。

2020年から昨年までの4年間で先発はわずか8試合。2023年も復帰を目指したが、コンディションは戻らず、6月には重度の神経損傷に苦しんでいることが報じられると、そのままメジャーの舞台に復帰することなく、今年4月6日に正式な引退が発表された。

通算113勝62敗、防御率3.24。そして、1470イニングを上回る1723個の三振を奪ったストラスバーグ。故障と復活を繰り返した「ガラスのエース」だったが、健康なときは「ドラフト史上最高の選手」という前評判通りの剛腕でファンを楽しませてくれた。実働約13年、ストラスバーグが見せてくれたその短くも濃密な現役生活は、多くのファンの脳裏に色濃く焼き付いていることだろう。

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