Mrs. GREEN APPLE、YOASOBI、Official髭男dism……億越え再生曲数を更新するヒットアーティスト

Mrs. GREEN APPLEの「StaRt」が、Billboard JAPANチャートにおいてストリーミング総再生回数1億回を突破した。

「StaRt」はメジャーデビューミニアルバム『Variety』(2015年)のオープニングを飾る曲で、いわばバンドのはじまりの曲でもある。リリースから9年近く経っての1億回再生突破は、この曲が長く愛され続けている証拠だろう。Mrs. GREEN APPLEの楽曲といえば、ポップでキャッチーなサウンド、聴き手の不安や葛藤に寄り添うメッセージ性の高い歌詞が魅力のひとつだ。〈独りじゃないと否定出来るように/明日も唄うんだ〉と歌われるアッパーチューン「StaRt」は、彼らの真骨頂とも言える。

また、昨年Mrs. GREEN APPLEは結成10周年を迎えると同時に、『第65回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)で大賞を受賞し、『第74回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たすなど、大躍進を遂げた。年末年始以降から新たにMrs. GREEN APPLEに興味を持ち、過去の曲を遡って聴き始めた人も多かったのではないだろうか。

本稿執筆時点で、Mrs. GREEN APPLEは「青と夏」「点描の唄 feat.井上苑子」が総再生数5億回を突破している。1億回再生を突破しているのは「StaRt」を含めて14曲で、国内アーティストの中では2番目に多い数となった。

そんなMrs. GREEN APPLEを上回り、15曲の1億回突破再生曲を持つアーティストが現時点で2組いる。そのうちの1組がYOASOBIだ。なかでも、2019年にリリースしたデビュー曲「夜に駆ける」は昨年9月に10億回再生を突破し、日本初となるストリーミング再生数におけるビリオン達成となった。ほかにも、「群青」が7億回突破、「アイドル」「怪物」が6億回突破といった驚異的な再生数を叩き出している。

YOASOBIの魅力は、「小説を音楽にする」というユニットのコンセプトの斬新さ、楽曲の中毒性、複雑な譜割りも歌いこなすikuraの歌唱力など、多岐にわたる。メンバーのソロ活動を見ても、Ayaseは「夜撫でるメノウ」、ikura(幾田りら)は「スパークル」と、それぞれが1億回再生を突破している曲を持つのも特徴だ。個人・ユニットともに、今の日本の音楽シーンを牽引している存在と言えるだろう。

年末年始には初のアジアツアー『YOASOBI ASIA TOUR 2023-2024』を成功させ、4月下旬には自身初のアメリカ単独公演『YOASOBI LIVE IN THE USA』も控えるYOASOBI。日本から世界へ、ふたりの音楽は確実に広がっている。

そして、昨年11月に「ホワイトノイズ」が総再生回数1億回を突破し、国内で最初に計15曲の1億回越え再生を達成したのがOfficial髭男dismだ。

Official髭男dismが初めて1億回再生を突破した楽曲が「Pretender」である。同曲は2019年4月に配信リリースされ、その年の9月に1億回再生を突破。Billboard JAPANが2017年10月にストリーミングチャートの集計を開始して以降、あいみょん「マリーゴールド」、DAOKO×米津玄師「打上花火」、エド・シーラン「Shape of You」に続く4作目の1億回再生突破曲として話題となった。

「Pretender」リリース以降も、「I LOVE...」(6億回突破)、「Subtitle」(5億回突破)など、次々にヒット曲を生み出しているOfficial髭男dism。彼らはドラマやアニメの主題歌も多く手掛けているが、そのタイアップ作品も同時に話題となっている印象が強い。例えば、「Subtitle」と木曜劇場『silent』(フジテレビ系)、「ミックスナッツ」とTVアニメ『SPY×FAMILY』(テレビ東京系)、「Cry Baby」とTVアニメ『東京リベンジャーズ』(テレビ東京系)など、“ヒット作品にヒゲダンあり”と言っても過言ではないだろう。楽曲単体の良さももちろんあるが、作品自体に最大限寄り添った曲作りの姿勢が、楽曲と作品の両方がヒットする要因のひとつになっているように思う。

Mrs. GREEN APPLE、YOASOBI、Official髭男dism。耳に残るフレーズやメッセージ性があったり、曲中の細かな仕掛けを探したくなったり……など、ポイントはさまざまだが、彼らのこうした曲を何度も聴かせる力が、1億回突破という突出した再生回数に繋がっているのだろう。

上記3組に続くのは、13曲が1億回再生を突破しているback numberとVaundyである。これからも順位は変動していくだろうし、それぞれの楽曲がどこまで再生数を伸ばすのかも気になるところ。ストリーミング再生数にも注目しながら、繰り返し楽曲を楽しんでいきたい。

(文=かなざわまゆ)

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