裏金問題、安倍派幹部の処分の裏側 自民党内部の赤裸々な声を朝日×産経政治部記者が大暴露!選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2024年3月30日に公開された動画のテーマは「安倍派幹部処分 その内容は?」です。

岸田総理自らによる安倍派幹部への個別聴取、自民党の処分の重さと、補選を目前に決まらない処分への党内の反応……朝日新聞・今野忍記者と産経新聞・水内茂幸記者が、自民党のお家事情を赤裸々にひもときます。

【このトピックのポイント】
・総理自ら安倍派幹部を個別聴取。真相究明に近づけるか?
・自民党の処分、ひとつ違えば選挙戦で「地獄から天国へ」
・吉幾三さんが動画で告発 自民現職議員が飛行機内でパワハラ?

岸田総理自ら個別聴取するのは「異例」果たしてその成果は?

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田総理大臣は安倍派幹部の4人への個別聴取を行いました。

今回聴取を受けたのは、以下の4人です。

・塩谷立氏(元文部科学大臣)
・下村博文氏(元政務調査会長)
・西村康稔氏(前経済産業大臣)
・世耕弘成氏(前参議院幹事長)

岸田総理は、一連の内容を踏まえて具体的な処分を判断するとしていますが、4人にはキックバックをやめなかった結果責任があるとし、党の規約で4番目に重い「選挙における非公認」以上の処分を検討しているとの報道があります。

自民党は長年政権与党でしたので、党内の仕事はナンバー2である幹事長が行うことが通例でした。その中で、党員の処分を総理が自ら聴取することは異例だそうですが……?

水内茂幸氏「これはやっぱり異例ですよね」

今野忍氏「オフレコだけど茂木さんと岸田さんはチョー仲悪い。岸田さんにしてみれば、任せたら何されるかわからないから、自分から出てくる」

水内氏も、「先日の自民党党大会で、総理自らが茂木さんに『指示した』と明言しているのになぜ本人が出てくるのか」と首をひねります。

それに対し今野氏は「(党の規則上)権限があるのが幹事長なので、ちゃんとやれよという意味で指示した。そういう場で言わなきゃいけないくらい信頼関係ないんでしょ?」と突き放すようにコメント。

このパフォーマンスの裏側には、政倫審を開催する際の事前調整で、岸田総理に「党がつぶれるかどうかの瀬戸際ぐらいなのに、自分で乗り出して調整しなかった」という批判があったようです。

その批判を受け、総理自ら処分を下すとアピールしたかったのではないか、と水内氏は岸田総理の心中を推し量るものの……

水内氏「でも、それで喜んだのは茂木さんだと思いますよ。自分でやらなきゃいけなかった部分を岸田さんが持ってくれたおかげで、(岸田さんが)矢を全部受けてくれたから。背負わなくていい矢を負っちゃった」

また、総理自らが個別聴取に乗り出しても、裏金問題についてはわかっていないことがあります。番組が収録された3月28日時点で判明しているのは、以下の4点です。

1.2022年3月に総理を退陣、派閥に戻った安倍元首相が、不記載の事態を知りキックバックを止めるよう指示をしたのが、安倍派幹部のうち、この4名
2.いったんキックバックを止めたものの、安倍氏の死去後の8月にこの4人が集まった場で何らかの意志決定があり、裏金作りが再開
3.政倫審において、4人は8月にこの「還流」の再開を決定したことを否定
4.一方、日本テレビは3月27日、元派閥会長の森喜朗元首相がこの還流復活に何らかの影響力を持っていた可能性が浮上したと報道

森元首相が「還流」再開への指示をしたという話は日本テレビ以外では出ていませんが、ネットでは拡散されています。報道が事実かどうか別に、「森さんに聞かなきゃわからないよね、という空気は醸成されている」とゲストの両名は語ります。

しかし、特捜部の捜査でも明らかにできなかったことが、政倫審で新たな証言を得られるものでしょうか。水内記者は、岸田総理自ら、森元首相に聴取を行うことが、政治パフォーマンスとして裏目になることや、疑惑が解明されないまま、処分もできない状況が続く膠着状態を懸念します。

補選を控えている島根や長崎などの自民党の若手や中堅層からは、早く処分をし、この問題にけじめをつけてほしいという意見も上がっているとのこと。

岸田総理は何をゴールにしているのか、見えなくなっています。

8段階ある自民党の処分、総選挙を前に天国か地獄かの分かれ道

自民党議員の処分内容は8段階。今回、裏金問題で取り沙汰された議員は重いほうから4番目となる「選挙での非公認」以上の処分が予想されます。しかし、この「非公認」という処分、ゲスト2名は口々に「聞いたことがない処分」と証言し、ほかの処分を受けた事例を解説します。

いちばん重い「除名処分」は、郵政解散の時に新党を立ち上げた亀井静香元衆院議員。自民党に二度と戻ってこさせないというとても厳しい処分で、選挙区には刺客候補が立てられました。

「離党勧告」は、最近では「銀座三兄弟」。コロナ禍の緊急事態宣言下に東京・銀座のクラブで深夜に飲食した、当時衆議院議員の松本純氏、大塚高司氏、田野瀬太道氏です。離党勧告は、従来では刑事処分以上に与えられるものですが、虚偽の報告があったこととコロナ禍での国民感情を反映し、重い処分となりました。

「党員資格停止」処分は、山﨑拓元衆院議員(元副総裁)。2021年の衆院選で同じ選挙区だった立憲民主党の辻本清美氏の応援をしたことが党の規律を乱したとして、1年間の党員資格停止処分を受けています。

今回の「選挙での非公認」は、どのような意味があるのでしょう。今野氏は、党の公認を受けられないと、比例に出られない(重複立候補できない)ことがリスクになるが、そのインパクトの大きさは人による、と解説します。

例えば、今回不出馬を表明した二階氏は85歳。比例に出ることができる定年を超えているため、公認を受けられなくても影響はありません。

また、二階氏のようなベテラン議員なら、自身の後援会があるため、同じ選挙区で自民党公認候補を擁立しない限り、選挙戦を戦えるでしょう。

水内氏は、塩谷氏と世耕氏の動向に注目します。

安倍派の座長である塩谷氏は、前回の選挙では比例復活での当選でした。今回非公認の処分を受けたら、年齢もあって当選は厳しいと思われます。

世耕氏は、参議院から衆議院へのくら替えを模索していたことが知られています。しかし、世耕氏の立候補する和歌山は、もともと二階氏の地盤。10増10減の影響で次期衆院選の小選挙区が3から2へ減少する中、新2区からの出馬が内定していた二階氏が、次期衆院選への不出馬を宣言しました。

世耕氏は、二階氏の後継と目される三男の伸康氏らへ世代交代されるタイミングを見計らって公認争いを目指していましたが、今回の処分でくら替えの道が事実上絶たれるのではないかと水内氏は分析します。

水内氏「西村さんのところ(兵庫)も厳しいかもしれないですよね。泉房穂さんが出てくるなんて話もあったり。比例復活の枠がないのは大きいかもしれないです」

ところで、岸田総理の自民党トップとしての責任はどうなるのでしょう。

水内氏「昨日、じつは国会の中でそういう質問があって。総理が『党の役職停止になったら総理を辞めることになる』と答弁して。そこだけ切り取ってWebニュースに流したらものすごいアクセス数来たんですよね」

今野氏「総理総裁の場合、役職停止をすると内閣退陣になってしまうんですよ。我々も総選挙が、自民党総裁選挙が前倒しになるのかとか」

非公認処分に比べ、役職を辞任してしまえばさほど影響が小さいと目される「役職停止」処分ですが、総理に限っては甚大な影響が予想されます。

さて、今回不記載の問題で問題になった議員は82人。全員を非公認処分としてしまうと、自民党が過半数割れとなる事態となります。党内幹部の中では責任逃れの発言も見られる中、穏やかでない発言もささやかれているようです。

今野氏「塩谷さんに近い人が、『塩谷さんは名ばかりの座長で権限なかったのに、こんな時だけ責任取れってひどい』って」

水内氏「総じて上と下との信頼関係の断絶がすごいんですよね」

一方、不記載が明らかになった82人は、ノルマを数万円超えた分が問題となった議員から、萩生田氏のように2700万円もの不明金が明らかになった議員まで、金額の多寡はもちろんのこと、自身が行ったことに対する認識もさまざまなようです。

柴山昌彦衆院議員は、不記載の事実に途中で気づいて記載していたのに、安倍派の事務局長によって不記載に戻した結果、今回、埼玉県連の会長を退任しました。

また、丸川珠代議員など、今野氏が「個人の口座に入れてましたって(囲み取材の場で)言ってたんですね。政治資金だから個人の口座に入れたら雑所得だから脱税ですよ」と呆れるようなケースも。

処分における論点は、

・20年くらい前に、誰がこの仕組みを作ったのか
・安倍氏の死去後に誰が再開を決めた
・金額での濃淡

と考えられますが、いずれにせよ実態解明ができるまでは処分ができず、時間がかかりそうです。

水内氏は、政倫審の場で安倍派の重鎮が自分の責任を人に転嫁した発言が、世論の反発を高めたと指摘します。

水内氏「自民党全体の支持率を下げてしまっている構図を、まだ当事者たちの意識が足りていないんじゃないかなという気がしますけれどもね。自民党への意識がさあっと離れていくみたいな」

この事件、幕引きになる感じは受けられません。

吉幾三さん、安倍派の自民・長谷川岳氏のパワハラ疑惑を訴える

処分の話が一段落したところで飛び込んで来たのは、ある意味で自民党議員の今を表すようなニュースです。

吉幾三さんが自身の動画で、飛行機の到着遅れに対し、高圧的な態度でクレームを入れた国会議員として自民党・長谷川岳氏を名指しで批判したというもの。

今野氏「吉幾三さんの言ってることはすごいまっとうですよね」

水内氏「僕も動画観ましたけど、まっとうですよね」

ゲストの両名は、飛行機で政治家が受ける手厚い待遇を紹介。セキュリティの問題もあるとはいえ、「ほぼすべての国会議員に対して、ここまで厚遇する必要があるのか」という疑問を呈するレベルだそうです。

官僚に対する態度も何度か問題とされている長谷川氏。ご本人はこの件に対し、自身のブログで反論していますが、水内氏は「パワハラをやる人は、自分がパワハラしていることに気づかないからパワハラになるんですよ。パワハラ体質の典型なんじゃないかなって気がしますね」とバッサリ。

今野氏「選挙ドットコムちゃんねるで呼んでやったら?長谷川岳vs水内茂幸。あちらも真意を説明したいだろうから」

長谷川岳氏、ぜひ当番組にご出演のうえ、真意をお聞かせください……!

動画本編はこちら!

82人、不記載のさまざまな事情。決まらぬ処分に自民党内部は?

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