シシド・カフカ、ミュージシャンとして“音を楽しむ心を取り戻せた”出会い「ヒリヒリ感が何よりも面白い」

シシド・カフカ、ミュージシャンとして“音を楽しむ心を取り戻せた”出会い「ヒリヒリ感が何よりも面白い」

ドラムヴォーカルのスタイルで2012年にCDデビューし、精力的な音楽活動を展開しているシシド・カフカさん。女優・モデル・ラジオパーソナリティーとしても活躍しており、多方面でマルチな才能を発揮しています。そんなシシドさんは、2018年にアルゼンチンに留学し、その後ハンドサインでリズムを奏でるリズム・イベントグループ『el tempo』を結成。3月29日には、初の配信音源『Tokio Ruidoso』がリリースとなりました。今回はシシドさんに、アルゼンチンへの留学経験やハンドサインを使った音楽との出会い、『el tempo』での活動などについて伺いました。

ーーシシドさんは2018年にアルゼンチンに留学してハンドサインを学ばれたということですが、このタイミングで新たなことを学ぼうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

タイミングは特に意識はしていませんでしたが、ブエノスアイレスでサインシステムと出会い、このシステムを使ったライブの楽しさを日本で様々な方々と共有したいと感じたんです。その熱量の冷めないうちにとスケジュールを調整し、留学を決めましたね。

どうやら、自分で想像していた以上に新しい物事を経験してみることが好きなようです。 ーーミュージシャンとして、留学中に得た気付きや発見はありましたか?

留学をする前は、日本で音楽を観聴きする時に、どこか研究するような感覚になってしまい、素直に楽しめなかったところがありました。

でも、アルゼンチンで日々音に触れながら学び、様々なライブに遊びに行く中で、忘れかけていた純粋に音を楽しむ心を取り戻せたように思います。

耳や心が踊るまま身体を揺らして、心身共に音を楽しむアルゼンチン人の姿も微笑ましくて(笑)そんなライブを日本でできたらいいなと感じました。 ーーハンドサインを使った即興音楽のどのような点に魅力や可能性を感じますか?

本来私が知っている音楽は、形が決まったものを演奏するというものでしたが、このサインシステムは完全に即興。そのセッションで何が起こるのか誰もわからない中で、全員がその時に感じたグルーブをぶつけ合うヒリヒリ感が何よりも面白いんです。

演者もコンダクターもお客さんも、その感覚を共有しながら魔法のような楽しさを味わえるところが魅力だと思います。

加えて、このハンドサインには音階にアプローチするものもあり、様々な楽器と共に音を作り上げることが可能です。ハンドサインの意味を理解していれば、どんな方とでもセッションができるんです。

ジャンル、年齢、国籍、様々な垣根を超えて楽しさを共有できるので、計り知れない可能性を秘めていると考えます。 ーーシシドさんは留学中の経験を活かして、2018年にハンドサインでリズムを奏でるリズム・イベントグループ『el tempo』を結成されました。このような活動をしようと思った理由は何でしょうか?

留学を決めた時点で、このサインシステムを使ったバンドを結成することは決めており、私がドラマーということもあって、ドラマーとパーカッショニストが混在するという本国には当時まだなかった形態でメンバーを集めました。

それを日本ならではの色にしようと、ハンドサイン創始者であるSantiago Vazquezと『el tempo』を形作りました。 ーー2021年には、東京パラリンピックの閉会式でパフォーマンスを披露されたことも話題になりました。反響も大きかったと思いますが、当時の心境をお聞かせください。

el tempoがまさかあんな大舞台にお声がけいただけるとは想像もしていなかったので、とても驚きました!同時に、大変光栄な機会をいただけたと嬉しく感じました。

先程お話しした通り、誰とでも楽しさを共有できるサインシステムの本質がリンクしたと言っていただけたことも嬉しかったです。これを機に沢山の機会を見つけていきたいと決意を新たにすることができました。

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