『忘却バッテリー』“ギャグ描写”はアニメ版でどう再現される? 宮野真守らに高まる期待

いよいよ4月9日よりTVアニメ『忘却バッテリー』の放送が開始される。2018年より『少年ジャンプ+』で発表されたみかわ絵子による原作コミックは、連載時からのファンも多い。待望のアニメ化となる本作は、アニメーション制作を『呪術廻戦』『チェンソーマン』などを手掛けたスタジオであるMAPPAが担当することでも大きな注目を集めている。そこで今回は、原作の魅力から見えてくる“アニメ版で見逃せない注目ポイント”を紹介していく。

物語は、中学硬式野球界で名を知らないものはいない“怪物バッテリー”清峰葉流火と記憶喪失になり、野球に関する記憶も失ってしまった要圭の2人を中心に展開していく。そして、かつて2人に敗れ、野球部がない都立小手指高校に進学した山田太郎と同じく小手指高校に入学していた天才プレイヤー・藤堂葵や千早瞬平が出会い、5人は再び野球への道を歩んでいく、という物語だ。

本作の特徴は、“ギャグシーンの多さ”にある。読者がまず思い浮かぶであろう要渾身のギャグ「パイ毛」や野球の名門・私立帝徳高校の岩崎監督が小手指高校に入学した天才たちを見て崩れ落ちる姿など、序盤はギャグパートがかなり多めに盛り込まれており、普段スポーツ作品を読まない方でも入りやすいのが印象的だ。小手指高校が野球部を発足し最初に練習試合を行った帝徳高校との場面では、試合中のシリアスさの中に笑える要素がかなり含まれているのもポイント。清峰の剛速球を受け泡を吹いてしまった要と岩崎監督のシーンはぜひアニメでもチェックしていただきたい。

またTVアニメ版では、メインキャストに増田俊樹、宮野真守、梶裕貴といった豪華声優陣が名を連ねているのも大きな魅力である。記憶喪失前は“智将”と呼ばれ、常に冷静な判断力とリードを武器にチームを勝利へと導いてきた要だが、記憶喪失後は本来のアホな性格が出てきてしまい緩く親しみやすい人柄へと変化している。この違いをどのように演じるのか気になるところだ。

今回要を演じる宮野は過去にも『イナズマイレブン』で2つの人格をもつ少年・吹雪士郎を演じており、温厚で優しい主人格と好戦的で言葉遣いが荒い「アツヤ」としての人格を見事に表現していた。本作では記憶喪失前後で性格が正反対な要をどう演じ分けるのかに注目だ。

さらに本作で絶対に忘れてはいけないのが、作中の語り手的な立ち位置で個性豊かなキャラクターたちに対して厳しいツッコミを入れ、読者の笑いを誘う山田太郎の存在だ。山田は、中学時代は清峰・要に敗北し野球とは無縁の人生を歩もうとするが、2人に出会い再度野球をすることを決意。帝徳高校との練習試合後にバッティングセンターで要の練習に付き添ったりと優しい一面も見られる人物である。

そんな友達想いな山田を演じる梶の演技は、原作者でもあるみかわ絵子にも高く評価されており、X(旧Twitter)上では「漫画ではかなりキツい突っ込みをするヤマ、テキスト上ではとても良い奴には見えなくて心配だったけど(笑)梶さんの声が“優しさ”をギュッと詰め込んでくれました」と投稿していた。キャラクターPVで垣間見えた、梶演じる山田をアニメ本編で観るのが待ち遠しい。

さらにアニメーション制作に携わるスタッフ陣にも着目していただきたい。本作でアクション作画監督を担当する立中順平は、同じく“野球”を題材にした人気作『MAJOR』で作画監督、『ダイヤのA』ではアクション作画監督を務めているのだ。

迫力ある試合展開や投球シーンでファンを魅了してきた2作。本作でも剛速球を放つ清峰や驚異的なバッティングで周囲を驚かせる藤堂、脚の速さが持ち味の千早などさまざまな武器をもったキャラクターたちが登場する。原作の躍動感溢れる場面は、実際に動きがつくアニメーションではどのように描かれるのだろうか。物語を彩るキャラクターや原作シーン、キャスト・スタッフと目白押しな本作は今期大注目であり、原作を読んだことがない方もぜひこの機会に視聴していただきたい。
(文=渡辺美咲)

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