ラファ攻撃は「危険な結末」になると警告、フランスと中東2カ国の首脳

エジプトとフランス、ヨルダンの首脳らは9日、イスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファへの攻撃は「危険な結末」に結び付くと警告した。

共同声明の中で首脳らは、ラファ攻撃は「さらなる死と苦しみ」を招くだけであり、「地域でのエスカレーションの恐れ」があると述べた。

ラファでは現在、150万人以上のパレスチナ人が避難生活を送っている。アメリカも、ラファへのいかなる攻撃にも反対するとしている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ラファ攻撃の日程は決まったとしているが、詳細を明らかにしていない。

エジプトのアブドゥル・ファッターハ・アル・シーシ大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ヨルダンの国王アブドラ2世は、仏紙ル・モンドに「イスラエルのラファ攻撃が招く危険な結末について警告する」とする共同声明を掲載。

即時停戦と全ての人質の解放を求める国連安全保障理事会の決議が「一刻の遅れもなく、全面的に施行」されるべきだと訴えた。

また、「ガザでの戦争と、それが引き起こす壊滅的な人道的苦痛は、今すぐ終わらなくてはならない」と主張。併せて、ガザへの援助を「大幅に増やす」よう求めた。

イスラエルと国境を接するエジプトとヨルダンは、紛争で分裂する中東地域で重要な役割を持つとみられている。

「日程決まっている」とネタニヤフ氏

これに先立ち、ネタニヤフ首相は8日、「私は今日、カイロでの協議の詳細な報告書を受け取った。我々は最優先事項である、すべての人質を解放しハマスに完全勝利するという目標達成に向け、尽力している」と述べた。

「この勝利には、ラファへの進行と、そこにいるテロリスト大隊の排除が必要だ。これは必ず実現する。日程も決まっている」

イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相も、イスラム組織ハマスとの戦闘が開始から6カ月過ぎた今が、人質に関する取引に適切な時期だと示唆した。

停戦と人質交換の交渉続く

エジプトの首都カイロでは、停戦と、イスラエル人の人質とイスラエルで収監されているパレスチナ人の交換についての協議が続いている。

この協議には、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官も出席している。バーンズ氏の存在は、イスラエルの主要な同盟国であるアメリカが、交渉で合意にこぎつけるよう圧力をかけていることを示す。

ハマスの幹部はロイター通信に対し、イスラエルの提示した条件はハマスの要求を満たしていないが、それでも精査すると述べた。

名前を明かしていないこの幹部は、「占領側(イスラエル)の立場に変化がないため、カイロでの協議には新しいことがない」、「進展はまだない」と語った。

これとは別に、イスラエルは8日、「合計で419台という、記録的な数の援助トラックがガザ地区に入った」と発表した。

現在の紛争は、昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、253人を人質にとったことで始まった。

人質のうち約130人はなお行方が分からず、少なくとも34人は死亡したとみられている。

一方、ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、イスラエルの軍事活動により、これまでに民間人を中心に3万3000人以上が殺された。

ガザ地区では飢饉(ききん)が差し迫っていると警告されている。国際NGOのオックスファムは、北部から動けない30万人が、今年1月以降、1日当たり245キロカロリーしか摂取できていないと報告している。世界食糧計画(WFP)が1日当たりで必要最低限とする摂取カロリーは2100キロカロリー。

イスラエルは、ガザ内への援助物資の搬入や配布を妨げているとの指摘を否定。現地の国連機関が、搬入を許可された援助物資を必要としている人々に届けることができていないと非難している。

(英語記事 Leaders urge Israel not to target Rafah in southern Gaza

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