『羽衣天女』国の重要文化財に 神戸で会えるのは8月から 兵庫県立美術館

『羽衣天女』神戸で会えるのは8月から

兵庫県立美術館が所蔵する本多錦吉郎(1851-1921)の作品『羽衣天女』が、国の重要文化財(美術工芸品)に指定されることになった。3月15日に開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て決まったもので、同館が自主的に収集してきたコレクションの中から重要文化財に指定されるのは初めてとなる。

【関連】兵庫だけの開催!フランス現代絵画の巨匠と豊岡出身の世界的書家の2人展

『羽衣天女』は、1890年に制作され、羽衣伝説のある三保の松原(静岡県静岡市)上空で、富士山と駿河湾を背に、天女が飛翔する姿を画面いっぱいに描いたもの。1890年の第3回内国勧業博覧会に出品され褒状を受けた本多錦吉郎の代表作だ。1904年頃アメリカに渡ったとされ、長らく所在不明になっていたが、1989年、アメリカ・ニューヨークで発見され、日本の画商に買い取られ国内に戻った。1990年に同館の前身である兵庫県立近代美術館で開催された「日本美術の19世紀展」で展示され、その後、1999年に公益財団法人伊藤文化財団からの寄贈により、兵庫県立美術館の所蔵となった。

作者の本多錦吉郎は、広島藩士として洋画を学び、明治時代初のヨーロッパ留学生・国沢新九郎に師事し、日本での油絵の普及に大きく貢献した。

『羽衣天女』は古来描かれてきた主題だが、西洋絵画の明暗法や遠近法を駆使して写実的に描かれており、日本の伝統的な図像と西洋絵画の技術の融合ともいえる作品とされる。

作品は、2024年4月22日(月)から5月12日(日)まで東京国立博物館本館での特集「令和5年新指定国宝・重要文化財」展で公開される予定。兵庫県立美術館では8月20日(火)から12月8日(日)まで「コレクション展Ⅱ」で、重要文化財に指定後、初のお披露目特別展示を行う予定。

© 株式会社ラジオ関西