そんな安月給でいいのかよ!月収35万円「平均給与以下」の45歳サラリーマン、「高給取り」の旧友から喝も「もう手遅れ」と諦めの理由

厚生労働省から令和5年の『賃金構造基本統計調査』の結果が発表され、最新の会社員の給与事情が明らかになりました。今回は大企業と中小企業、勤務先の規模別に給与の事情をみていきましょう。

大学時代の旧友で勝ち組サラリーマン「えっ、そんなに安くて暮らしていけるのか」と驚愕

――今日は大学の同期におごってもらった

地方の会社で働く45歳のサラリーマンの投稿。東京に出張に訪れた際に、大学時代の友人と食事をし、その代金はすべて払ってくれたといいます。

――こちらから誘ったのに奢らせちゃって

――稼いでるからな、こっちは

――さすが

――お前も、そんな安月給のままでいいのかよ

お会計後にそんなやり取りがあったといいますが、話の伏線は食事中。何かの流れで給与の話題になり、「ぶっちゃけ、いくらもらっているんだよ」と旧友。「月に35万円くらいかな」と応えたところ、「えっ、そんなに安くて暮らしていけるのか」と驚かれたといいます。

――スタートラインは同じだったんだけどな

大学卒業後、友人は東京の有名企業に入社。自身は就職活動に失敗し、地元の中小企業に就職。給与差が大きいことは何となく感じていたものの、ズバリ「給与が安い」と指摘され、モヤモヤした気持ちになったといいます。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大学を卒業したばかり、20代前半のサラリーマンの平均給与は、月収で大企業24.7万円、中小企業23.6万円。年収は大企業370.3万円、中小企業328.6万円。給与差は月1万円強、年収で40万円強でした。

その給与格差は、年齢があがるにつれ拡大し、45歳では月8万円強、年230万円弱。さらに会社員人生上、給与がピークを迎える50代では、その差、月13万円強、年330万円強にも達します。

【年齢別・サラリーマン「大企業と中小企業」の給与】

20~24歳:24.75万円(370.30万円)/23.61万円(328.64万円)

25~29歳:29.22万円(518.22万円)/27.27万円(409.62万円)

30~34歳:35.31万円(626.58万円)/30.21万円(466.89万円)

35~39歳:41.45万円(753.49万円)/34.09万円(528.92万円)

40~44歳:46.70万円(810.02万円)/37.75万円(582.36万円)

45~49歳:50.81万円(882.23万円)/42.28万円(652.63万円)

50~54歳:56.87万円(988.86万円)/43.19万円(653.00万円)

55~59歳:58.34万円(1,009.77万円)/45.25万円(676.55万円)

60~64歳:48.78万円(801.24万円)/39.42万円(578.19万円)

※数値左より大企業(従業員1,000人以上)の月収(年収)/中小企業(従業員10~99人)の月収(年収)

大学時代の就職活動の失敗が、今なお後を引く「就職氷河期世代」の諦め

男性の月収は月35万円ほどなので、一般的な大卒・中小企業勤務のサラリーマンの平均を下回る水準。一方で旧友が勤める会社の平均給与は1,000万円超と、WEBで軽く調べるだけで教えてくれました。東京と地方、大企業と中小企業……さらに旧友は完全に高給取り。「給与、安っ!」と驚かれても当たり前のことです。

――まだ大丈夫だから、転職でも考えてみたら

と、旧友に発破をかけられたといいますが、男性は「ははっ」と、その気のない返事をするに留まったといいます。

――(もう手遅れなんだよな……)

遡ること大学時代。就職活動はいまでは想像できないくらいの厳しさでした。いわゆる就職氷河期。バブル崩壊後の1993年から2005年に学卒・就職活動をしていた人たちは、就職氷河期世代と呼ばれています。若年失業率が10%前後と高い水準だったころで、超氷河期とされる2000年は大卒就職率は55.8%、大卒の学卒無業者は22.5%に達しました。

男性も就職活動において内定がなかなか出ず、一旦は、実家に戻ることを決意。このときたまたま受かった地元の中小企業に入社が決まり、現在に至るといいます。

もちろん、すべての人が就職に失敗したわけではなく、一流とされる企業への就職を勝ち取り、順調にキャリアを積んでいった人もいます。男性の旧友がまさにそのタイプです。そう考えると、就職氷河期世代は、ひと際「給与格差」が大きな世代ともいえるでしょう。

男性は状況が良くなったらもう一度上京し、旧友のように勝ち筋にのろうと考えていた時期もあったといいますが、地元で結婚し子どもが生まれ家も購入と、生活基盤が地元に出来上がった今となっては、東京に出るなんて夢のまた夢。また転職できたとしても、地元で少し給与のいい企業が関の山だと男性。転職活動の労力に合わず、現状維持が最も効率的だと男性はいいます。

大学時代の同級生の中には、フリーターとして社会に出ていまなお浮上できずにいるものや、一度は就職したものの途中で脱落し、引きこもり気味になったものもいます。「上を見たらキリがない」と男性。とにかく今は定年まで勤め上げることしか頭にないといいます。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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