佐伯市境150キロ、計24日間かけて踏破 星野さん「豊かな海の源、山だと実感」【大分県】

約150㌔の佐伯市境を踏破した星野憲一さん(左から2人目)を仲間たちが横幕で祝福=3月31日午後、同市蒲江の波当津海岸
星野さんが踏破した佐伯市境

 【佐伯】佐伯市弥生の会社員星野憲一さん(47)が、九州一広い同市に接する四浦半島の東端から県最南端の波当津海岸まで、陸側の境界線約150キロを踏破した。自ら名付けた「佐伯ロマントレイル」は大分・宮崎両県の5市町にまたがり、高低差約1600メートルの道なき道だった。計24日間かけて切り開き、「深い森を歩き、佐伯の豊かな海の源は山にあると実感できた」と喜んでいる。

 星野さんは山歩き歴約30年。祖母・傾・大崩(おおくえ)山系など、九州を中心に山歩きを楽しむ。

 佐伯市境歩きは新型コロナウイルス禍の2020年5月にスタートした。市外での登山は難しい中、山の尾根を歩く「縦走」が好きなことに加え、以前から「地元の山をもっと知りたい」と考えていたこともあり挑戦を決めた。

 市境は津久見、臼杵、豊後大野の3市と宮崎県の日之影町、延岡市にわたり、途中に佩楯(はいだて)山(754メートル)や傾山(1605メートル)がある。基本的に道がなく、ほとんどの部分がやぶで覆われている。

 仕事休みを使って活動。倒木やダニ、ヒルなどに悩まされ、冬季を中心に難路を歩き続けた。念願のゴールは今年3月31日。午後5時ごろ同市蒲江の波当津海岸に到着すると、「おめでとう」の横幕を持った仲間が祝福した。

 星野さんは「森の中で不意に視界が開け、連なる山々が見えた瞬間は最高。名もない大木との出合いもあった」。一方で「不法投棄されたごみの多さに気付いた。想像もしない発見があり、いろいろなことを教えられた」と振り返った。

 今後は仲間と市内の山で、自然に親しみながら歩くロングトレイルのコースづくりに取り組む予定。「日本中から人が集まる素晴らしいルートを作りたい」と張り切っている。

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