【実話】週1回・1時間半働いて月10万円…「その仕事、最高だね」と言われる定年後の働き方とは

(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後もどこかで働きたいけれど、プライドは失いたくない。自分や家族との時間は確保したいけれど、収入もある程度欲しい。そんな贅沢を叶えられるのが「社外顧問(=定年顧問)」という仕事です。本記事では『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)から、著者の岩﨑 和郎氏が、社外顧問として働く魅力についてご紹介します。

顧問という肩書があると、精神的、世間的、金銭的な満足が手に入る

定年後の働き方には、①再雇用に応じる②転職する③人材派遣会社に登録して嘱託として働く④パートやアルバイトで働く⑤起業すると、主に5つが挙げられますが、そのどれもが収入や時間などの問題があり、満足を得られないことも少なくありません。

しかし、実は定年後の働き方にはもう1つの選択肢があります。それが「社外顧問」です。実際に私は、定年後に「社外顧問」として働いています。社外顧問は、事業についてのアドバイスや、人脈の紹介などをします。

一番期待されるのは、人脈の紹介です。販路の拡大のためには、人脈の紹介が一番重要です。多くの人脈がある方であれば、その人脈の紹介だけでも顧問として働くことができます。まさにアルバイト感覚で人脈の紹介をするといった具合です。

人脈の紹介を続けていると、社内事情や営業の進め方等について、気づくことが出てくるでしょう。そういった場合は、ぜひ良い方向へもっていくようにアドバイスをすることをおすすめします。このようなアドバイスをすることにより、ただ単なる人材の紹介から、別の案件の依頼につながることになるからです。

私が社外顧問を始めたことで、周囲の私に対する見方が変わってきたように思います。

「顧問の働き方は年齢からすると最高の職業だ」とか「定年がなく、場合によっては長く勤められていいね」とか「昔苦労したことが役立っているのね」とか、さまざまな言葉を投げかけられるようになり、まんざらでもない心境にあります。このような言葉は、他のいかなる仕事をしていたとしても、まず出てはこないでしょう。

ニュアンス的には、企業の会長、社長、役付き取締役(専務や常務など)、取締役などを退任した人との位置づけといえます。

社外顧問としての出社は、週1、2日という例が多いでしょう。周りから見ると、フルタイムの出勤ではないため、ただのパートタイマーではないか、と思われることもないわけではありませんが、「社外顧問として、働いている」と説明すると、見方がガラッと変わってきます。

つまり、「定年後フルタイムで働けなくなったから、週3日働いている」と見られていたものが、「社外顧問」として働いていると説明すると、「当然」という見方に変わるようです。

具体的に「社外顧問」になる方法や待遇面などに関して質問されることも増えました。わかる範囲内で答えていますが、「社外顧問」という仕事に興味を抱いている人が少なくないこともわかりました。

顧問の仕事を続けているとわかることですが、企業側からの期待は想像以上に大きく、仕事はやりがいがあり、精神的には、非常に高ぶり、ハイな状況になります。世間的にも羨望とまではいきませんが、いつかはやってみたい、できることならやってみたいという仕事の1つでしょう。

さらに金銭的にも満足できる報酬も得ることができます。シニアにとって、最高の仕事といっても過言ではないと思います。

社外顧問の最大の魅力は、わずかな時間で高額の報酬が得られる点です。社外顧問は、専門的な知識やノウハウをもって、高度なサービスを提供することを目的としていますので、報酬も高額となります。

今現在、私は週1回、1時間半、顧問として仕事をしていますが、この仕事で私が得ている顧問料は月10万円です。これが高いか安いかは一概にはいえないと思いますが、実働時間を考えると安くはないでしょう。

現在、できればもう一社、顧問先を増やしたいと考えていますが、もしそれができれば年金を含めて、経済的にはかなり余裕が持てるでしょう。余裕というのは、固定的な生活維持費をまかない、その上で旅行であるとか、私生活での楽しみにお金を使うことができる、ということです。

多くの人に知って欲しい、社外顧問の1週間スケジュール

社外顧問を開始した当初は、欲張らずに1社勤務にしておくことをおすすめします。半年ほど経過すれば、ペースもつかむことができますので、もう1社増やしてもいいかもしれません。

週1日勤務が一般的ですが、「週2回」や「月2回」など企業によって希望日数が異なりますので、あなたの生活リズムに合わせて2社目の顧問先を選ぶといいでしょう。

顧問契約の期間は、半年か1年がほとんどで、状況によって自動更新となります。契約先でのプロジェクトの進捗状況や達成度などを考慮しながら、こちらから頻度や契約期間に関しても提案することも可能です。

私の現在の典型的な一週間のあり方をご紹介します。毎週月曜日は午後1時間半の顧問業で出勤します。火曜か水曜は図書館に行って、翌週のための下調べをすることが多いです。あとはだいたい自宅にいます。

プールに行って泳いだり、本を読んだり、あるいは映画を見に行ったり、というように丸一日ヒマ、ということはあまりありません。あとは、買い物で妻に付き合わされる、ということもしばしばあります。

一週間のうち、土曜と日曜は孫の子守です。娘家族と同居しているのですが、孫は3歳の男の子です。要するに、土日はおじいさん、おばあさんとして過ごすわけです。顧問の仕事のもう1つの利点は、ここにあります。月曜から金曜まで働いて、土日に孫の面倒を見るというのは、現実的には無理だと思うからです。

「ワシ族」という言葉があります。定年後に働かず暇を持て余して、奥さんが買い物に行くというと「ワシも行く」とくっついていく人のことを称するものです。顧問のおかげで私はそういう悲しい老後にはなっていません。このような働き方をすることを家内も喜んでいるようですし、何より私自身がプライドを保てています。

なんらかのノウハウを持っている人は、他の人に教えた方がいい、と私は思います。企業に限らず、いろいろなところでベテランが少なくなってきている今、たとえ週1回であっても時間を使って教えてあげれば、解決する問題も世の中に山のようにあるのではないでしょうか。

その意味で、私は顧問という働き方を多くの方に知ってほしいと思います。

岩﨑 和郎

アドバイザー・技術顧問

※本記事は『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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