遮断機も警報機もない第4種踏切がなくならない理由 立ちはだかる「コスト」と「地元の同意」

メ~テレ(名古屋テレビ)

4月6日、群馬県の踏切で9歳の女の子が列車にはねられ死亡する事故がありました。事故の現場は遮断機と警報機がない「第4種踏切」でした。この第4種踏切は東海地方にもあります。東海地方での対策は進んでいるのでしょうか。

愛知県でも3月、事故が発生していました。 「衝突事故があった現場の踏切です。警報器や遮断機は設置されていません。ここを渡る際には、しっかりと目と耳で、列車が接近していないかを確認する必要があります」(記者) 豊橋市老津町にある豊橋鉄道渥美線の踏切では、3月8日午前8時半ごろ、列車と軽トラックが衝突し軽トラックを運転していた30代の男性が軽いけがをしました。 この踏切は車両は進入禁止の場所でした。

遮断機と警報機の設置は「すぐにできない」

現場の踏切には警報機はありませんが、約150メートル離れた踏切から警報音が聞こえます。 「音が聞こえて目で確認できてから、この踏切に到達するまで、結構あっという間です。ちょっと油断していると聞き逃したりするかもしれないですね」(記者) 豊橋鉄道にはこういった「第4種踏切」が2カ所あるということです。 遮断機と警報機のある「第1種踏切」への切り替えに関して、豊橋鉄道は「第1種踏切にするには費用がかかる。廃止するのにも、地元や関係各所の理解や調整がいる。安全第一だがすぐにできる話ではない。引き続き考えていかないといけない課題」としています。

危険な踏切、半数以上が岐阜 踏切近くには小学校も

東海地方に195カ所ある、遮断機と警報機がない「第4種踏切」。このうち半数以上の111カ所が「樽見鉄道」など複数のローカル線が走る岐阜県内にあります。 「瑞穂市の住宅街です。この住宅街の目と鼻の先に線路があり、踏切があります。ただ踏切には遮断機も警報器もありません。設置されているのは『とまれみよ』いう看板だけです」(上坂嵩メ~テレアナウンサー) 近くには住宅街のほか小学校もあります。 近所の方にお話を聞きました。 Q.普段はこの踏切はどのように使われていますか 「中学生が自転車に乗ってそのまま通る」 「毎日使っている。小学校があるから通学で通う子もいる」 樽見鉄道の列車が通る、こちらの踏切では「上り」と「下り」合わせて、1時間に3本程度の列車が通ります。 100メートルほど先に無人の駅があり、その脇にある踏切には遮断機と警報機がついています。そのため列車が近づいてくると…。 「この先にある駅方面の踏切の警報機が鳴り始め、ほどなくして列車が見え始めました。列車が見えてからすぐに通過していきますね」(上坂アナウンサー) 樽見方面へ向かう下り列車は直前がカーブのため、列車を確認できてから目の前を通りすぎるまでにかかった時間は15秒程度でした。

地元住民は?

踏切事故にあわないために、地域の皆さんはどのような点に気を付けているのでしょうか? 「小さい子どもがいるので1人では近づかせないようにしている。(駅近くの警報機の音で)列車がもうすぐ来ることはなんとなくわかるが…」 「第4種踏切」について「樽見鉄道」では、沿線の小学校と連携をして踏切の渡り方などの出張授業を行い啓発活動をしています。

踏切撤去だと「う回の手間」、遮断機設置だと「費用がかかる」 2つの課題

また、東海3県で55カ所の「第4種踏切」を抱えるJR東海は「利用状況などを踏まえ、廃止や第1種踏切への切り替えを進めている。また道路管理者などと協力して、事故防止策を進めている」としています。 東海3県の「第4種踏切」は年々少なくなっているものの、10年前と比べて1割程度の減少にとどまっています。 鉄道事業を監督する中部運輸局に背景を聞きました。 「地元の方の同意がないと、踏切道というのはなかなか除去しにくいという理由が挙げられると思います。というのは、地元の方も生活に利用される通行経路として利用されているという背景がある」(中部運輸局 鉄道部技術・防災課 山田豊課長) 踏切がなくなると迂回する必要が生じるため、地元からの同意を得るのが難しいということです。 また、警報機と遮断機がある「第1種踏切」に切り替えるには、「コスト面」での難しさも挙げられます。 「補助金の制度もあり赤字事業者に対しては2分の1の支援をしている。しかし、残り1000万から1500万円の事業者への負担がかかってくるので、中小の事業者にとっては難しい側面もあると思います」(山田課長) (4月9日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ+』より)

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