菊栽培で暮らし豊かに 中国海南省東方市

菊栽培で暮らし豊かに 中国海南省東方市

2日、海南虹華園芸の栽培拠点で菊を摘む従業員。(東方=新華社記者/羅江)

 【新華社海口4月10日】中国海南省東方市三家鎮窯上村では4月初めにかけ、菊の販売最盛期を迎えて花卉(かき)農家らが出荷作業に追われた。

 同村村民委員会の文成海(ぶん・せいかい)副主任によると、村内だけでも菊の作付面積は千ムー(約66.7ヘクタール)近くになり、菊栽培に投資した農家は収入が増え、また大勢の農民が除草や芽かき、施肥、摘み取りなどの作業に従事し、平均5~6千元(1元=約21円)の月収を得ているという。

 十数年前、花卉生産企業が多数同市に進出した。冬の乾燥した気候や長い日照時間を利用して、本来の栽培適期ではない時期に菊の栽培を始め、多くの地元農家らが栽培に携わった。同市は中国最大の冬菊の産地となり、昨冬から今春までの作付面積は約1万ムー(約667ヘクタール)、出荷量は3億5700万本になる見通し。

菊栽培で暮らし豊かに 中国海南省東方市

2日、海南省東方市窯上村で菊を箱詰めする村人。(東方=新華社記者/羅江)

  同市で花卉栽培を手がける海南虹華園芸は、2009年に市内に生産拠点を設置、作付面積は1200ムー(80ヘクタール)余りに上る。先祖の墓参りをする伝統的な祝日「清明節」(今年は4月4日)前後だけでなく、2月中旬から下旬にかけても同社にとって最繁忙期になる。春分(今年は3月20日)前後は、日本人が墓参りをし、先祖を祭る大切な時期に当たるため、主に日本市場向けに出荷する。

 同社は年間3千万本の菊を生産し、半数を日本と韓国に出荷している。従業員の李保林(り・ほりん)さんによると、日本向けに輸出する菊は受注生産を行っており、翌年の出荷量や価格について日本の顧客と事前に取り決めた上で栽培計画を確定している。経営状況は順調で、200人余りの雇用を農家に提供。平均月収は約6千元、最高で1万元に上る。

菊栽培で暮らし豊かに 中国海南省東方市

2日、海南虹華園芸の生花保存用冷蔵倉庫で、菊の注文票を確認する従業員。(東方=新華社記者/羅江)

 同市の花卉企業は、品質向上に向け栽培技術も磨いている。海南虹華園芸の大型温室には、点滴かんがい用のチューブが整然と並ぶ。技術者は機器を操作することで、特定の温室や特定のブロックの花に水と肥料を混ぜた液肥を正確に散布することができる。栽培拠点には、生花の鮮度を保つ冷蔵倉庫や仕分け作業場などの関連施設も完備している。

 同社は、独自開発した新品種を試験栽培するほ場も開設している。生産部門の責任者、楊雄(よう・ゆう)氏によると、同社は切り花菊の新品種32種を選定・栽培し、うち一部を市場に投入。独自の研究開発チームを発足させたほか、日本のイノチオ精興園やオランダの種苗会社デリフロールなど、菊の育種開発を手がける世界的な企業や、中国農業大学、南京農業大学など中国の農業研究機関との協力関係を維持しているという。(記者/羅江、鐘群)

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