もったいなすぎる、なでしこ藤野あおばの2度の“決定機逸”。圧巻のパフォーマンスだっただけに...

もったいなすぎるプレー選択だった。

なでしこジャパンは現地4月9日、アメリカで開催された『2024 SheBelieves Cup』の3位決定戦でブラジル女子代表と対戦。1-1で突入したPK戦の末に敗れた。

敗因は決定力の欠如にあった。日本は序盤から主導権を握り、ボランチの一角を務めた長谷川唯を起点とした縦に速い攻撃で相手ゴールを何度も強襲。そして35分、ゴール前のこぼれ球に反応した田中美南のゴールで先制したわけだが、ここからはチャンスを決め切れない、もどかしい時間が続いた。

決定力不足の最たる例は先制して迎えた55分、左サイドの北川ひかるがグラウンダーのアーリークロスを供給。これにファーサイドで反応した藤野あおばが抜け出したが、ワントラップで前に運んでいればGKと1対1だった局面で、20歳のアタッカーは切り返しを選択した。

【動画】田中美南の先制弾!
前ではなく中央に持ち込んでいる間に、戻ってきた相手DF数人にコースを切られ、シュートはゴール上に外れた。

藤野はその前の45分にも、同じような局面で中央へ切り込んでDFの対応に遭い、決め切れず。日本は71分に失点して同点とされたが、この2度の決定機のどちらかでもモノにできていれば、リードを広げて試合を優位に進められていたはずだ。

この試合、藤野はキレキレだった。足もとの上手さが光り、相手の激しいチェックを受けても簡単にロストせず。リフティングのようなボールタッチから華麗なラストパスを送るなど、圧巻のパフォーマンスを披露。しかし、フィニッシュの精度だけが物足りなかった。

強敵がひしめくパリ五輪では、多く好機を作り出せるとは限らない。決め切るべきところで決め切る力がなければ、世界一は夢のまた夢。決定力不足は今のなでしこジャパンが改善すべき最重要課題だ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

© 日本スポーツ企画出版社