【MotorMagazineDigest:BMW iX2とMINIカントリーマンSE ALL4の「別腹」】ジャーマン プレミアムコンパクトがBEV化で悩ましい!

2024年4月1日から発売中「MotorMagazine5月号」の第一特集「ニューSUVへの期待を確かめる」では、パート3でBMW X2系、パート4でMINI カントリーマンの海外試乗会の模様を紹介中です。ここでは、それぞれの電気自動車版について、静的に比べてみました。(写真:BNW Japan)

前後にモーターを配した4WDモデルは、総合出力に違いが

3代目へと進化した新型MINIカントリーマンはBMW X1やX2と同じUKL2プラットフォームを採用。その全長は先代から100mm以上も拡大し、4445mmまで成長しています。X2と比べれば100mmほど短いものの、ホイールベースは2690mmで共通。全幅は1840mmで同等になりながら、全高は80mm高い1640mmとなっています。

ソフトなボリューム感と正確に削り取られたエッジの組み合わせが特徴的。エクステリアおよびインテリアの素材からクローム・パーツやレザーを排除し、代わりに採用した新素材にはリサイクル・ポリエステルやリサイクル・アルミニウムを利用する。

気になる後席居住性に関しては乗り比べてみないと一概には言えませんが、流麗なクーペスタイルに対して背高のっぽスタイルにやはり軍配が上がりそう。一方で荷室の容量は、5人乗り時はiX2が525L、カントリーマンは460Lと、意外な差が。もっとも最大容量ではカントリーマンが1450Lで、50Lほど上回っています。微妙な差です。

リアデザインにおいては、ワイドで力強さを強調する水平方向のキャラクター・ライン、立体的なLEDリア・コンビネーション・ライトが、特徴的だ。

パワートレーンはどうかと言えば、こちらも共通性あり。カントリーマンにはFWDもありますが、iX2は4WD(xDrive)のみというところは、大きな違いと言えるかもしれません。

カントリーマンの4WD版「ALL4」とのスペック的な違いはというと、前・後輪に配置されるモーターはどちらも最高出力190ps/最大トルク247Nmで、共通しています。しかしトータルでの最高出力はカントリーマンが306psを絞り出しているのに対して、iX2はなぜかやや控えめな272psとなっています。最大トルクは494Nmで変わりません。

ドライバビリティの評価でも似ている一面が

床下に搭載されるリチウム・イオン電池も、66.45kWhと66.5kWhで、おそらくはリリース上で四捨五入したかしないかというレベルの違い。その上で、一充電での走行可能距離は、カントリーマンが433km、iX2が449kmと公表されています。実用的にはほぼほぼ互角と考えてよさそうです。

iX2のインターフェイス。高いアイ・ポイントがドライブ時に安心感をもたらすセミ・コマンド・シート・ポジションだ。BMWカーブド・ディスプレイの採用や、iDriveコントローラーの廃止など、ユーザー・インターフェースにおいても、大幅なデジタル化が施されている。
MINI カントリーマン SE ALL4。温かく広々とした印象を与えるインテリアは、完全にデジタル化。MINIとして初となるハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能を搭載するなど、今までに経験したことのない、かつてない体験を提供する。

ちなみにMotorMagazine誌での試乗は、BMWもMINIも島下さんが担当してくれているのですが(比較試乗ではなく、別日に別の場所で)、印象は「軽やか」というところが共通項としてあるようです。カントリーマンは「大人っぽいスポーツ性」、iX2は「滑らかで力強い」とコメントされているあたりも、ニュアンスとしては似ていますね。

公表されている0→100km/h加速もまた、図ったようにどちらも5.6秒なので、これはかなり似通ったドライブ特性を持っているのかもしれません。安全装備の売りとしては、、ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能をはじめとした先進の安全機能やアシスト機能もまた、同等のものが奢られているようです。

ひとつ、カントリーマンの売りとなりそうなのは、外部給電機能があることでしょうか。こうなるとあとはとってもシンプルに、わかりやすいカッコよさで選ぶか、見た目的にも一部の機能性的にもより優れた実用性で選ぶか、というところに行きつくことになります。

価格はさすがにBMW iX2 xDrive30 M Sportが742万円で、カントリーマンSE ALL4が662万円と、それなりに開きがあります。それでもこの2台、新しい時代のプレミアムコンパクトSAVとしては、かなり悩ましい選択と言えそうです。

© 株式会社モーターマガジン社