分散型エネルギー貯蔵システムを束ねて連系 中国江蘇省

分散型エネルギー貯蔵システムを束ねて連系 中国江蘇省

江蘇省南通市にある企業に設置されたエネルギー貯蔵設備。(3月29日撮影、南通=新華社配信)

 【新華社南京4月10日】中国江蘇省南通市の金属品メーカー、南通尚軒金属製品に設置されたエネルギー貯蔵設備(出力100キロワット/容量215キロワット時)が3月末、送電網への連系を果たした。江蘇省が構築を進めていた初の分散型エネルギー貯蔵システム集約プロジェクト(出力3200キロワット/容量1万1505キロワット時)はこれで、全システムが稼働した。需要側のエネルギー貯蔵システム建設の新たなモデルとなった。

分散型エネルギー貯蔵システムを束ねて連系 中国江蘇省

江蘇省南通市にあるエネルギー貯蔵設備の研究開発などを手掛ける沃太能源で、分散型エネルギー貯蔵システム集約プロジェクトの運用状況を視察する、中国送電大手・国家電網傘下の国網南通供電のメンテナンス担当者。(3月29日撮影、南通=新華社配信)

 中国送電大手、国家電網傘下の国網南通供電制御センターの張海波(ちょう・かいは)氏によると、分散型エネルギー貯蔵システムはここ数年で急増し、普及が進んでいるが、容量が小さいことが多く、系統接続して負荷の変動に応答するのは難しい。分散型エネルギー貯蔵システムの集約プロジェクトはこれらのエネルギーを束ね、送電網の負荷調整に参加させることを目的にしている。「企業のエネルギー貯蔵設備は通常、需要側のバックアップバッテリーとして各社に分散している。必要な時にはアグリゲーター(集約事業者)がこれらを統合して大規模な充電池を形成し、電力系統の柔軟な調整に一体的に参入できるようにする」と張氏は説明する。

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沃太能源の展示ホールを見学する国網南通供電のメンテナンス担当者。(3月29日撮影、南通=新華社配信)

 集約された分散型エネルギー貯蔵システムは、電力のピークシフトや周波数調整によって電力系統の安定を確保するとともに、アグリゲーター、企業、電力供給者の三者のウィンウィンを実現する。企業は建設場所を提供するだけで、エネルギー貯蔵設備を自社のバックアップ電源に使うこともできるし、系統連系して調整に加わることもできる。アグリゲーターはエネルギー貯蔵設備や管理プラットフォームを構築し、集約して電力系統に接続することで、電力料金の時間帯による格差やピークシフト・周波数調整への参入で生じる経済的利益を企業と分け合える。電力供給者はアグリゲーターの助けを借り、電力系統のピークシフトと周波数調整のため大規模な分散型エネルギー貯蔵システムを必要時に使い、電力系統の安定的で安全な運用を促すことができる。(記者/陸華東)

分散型エネルギー貯蔵システムを束ねて連系 中国江蘇省

企業に設置されたエネルギー貯蔵設備のデバッグを行う国網南通供電の技術者。(3月17日撮影、南通=新華社配信)

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