貧困急増…平均所得「200万~300万円未満が最多」「主要先進7ヵ国ダントツの最下位」日本のキツすぎるリアル

(※写真はイメージです/PIXTA)

公益財団法人 日本生産性本部『労働生産性の国際比較2023』とともに、「安いニッポン」の実態をみていきます。

OECD加盟国38ヵ国中31位の「日本の労働生産性」

公益財団法人 日本生産性本部『労働生産性の国際比較2023』によると、2022年の日本の一人当たり労働生産性は、85,329ドル(833万円)。OECD加盟国38ヵ国中31位。2022年調査の「29位」から2つランクを下げ、1970年以降もっとも低い順位となりました。

近似値を記録しているのは、ポルトガル(88,777ドル/866万円)やハンガリー(85,476ドル/834万円)、ラトビア(83,982ドル/819万円)といった、ヨーロッパでは比較的物価が安いとされている国々です。

ちなみに労働生産性とは、従業員一人当たりの付加価値額を言い、付加価値額を従業員数で除したものです。労働の効率性を計る尺度であり、労働生産性が高い場合は、投入された労働力が効率的に利用されていると言えます(財務省)。

労働生産性は、1位アイルランド、2位ノルウェー、3位ルクセンブルクなど、北欧・西欧地域が軒並み上位にランクインしています。西欧のなかで労働生産性水準が比較的低い英国は19位。そして韓国は27位です。OECDの全体平均は115,454ドルと、日本が平均値を大きく下回っている現状が見て取れます。主要先進7ヵ国でもダントツの最下位です。

少子高齢化、コロナ、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰を経たことなど要因は様々ではあるものの、海外メディアまでも「貧困層の増加によって、日本の『中間層』は消え始めている」(Japan’s middle class is ‘disappearing’ as poverty rises, warns economist 2020.7 CNBC)と報じるようになっています。

貧困層が増えている一方、2021年、日本の富裕層・超富裕層の世帯数は2005年以降で最多となりました(株式会社野村総合研究所調べ)。さらにこのコロナ禍、株式市場などの好調が起因となり、世界の億万長者の数は過去最多を更新しています。

「中間層の拡大」とは言うが…「中間」はどこ?

恐ろしいほどの経済格差が深刻化している日本社会。だからこその「中間層の拡大」が求められているといえるでしょうか。

では、現在日本の中間とはどこか。

厚生労働省『国民生活基礎調査』(2022年)より、平均所得について見てみると、1世帯あたり平均所得金額は、「全世帯」が545万7,000円。「高齢者世帯」が318万3,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が665万円、「児童のいる世帯」が785万円となっています。

やはり気になるのは分布図。同調査によると、「200万~300万円未満」が14.6%、「100万~200万円未満」が13.0%、「300万~400万円未満」が12.7%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。中央値は423万円。平均所得金額(545万7,000円)以下の割合は61.6%と過半数を超えています。

一方、23年12月末時点の家計の金融資産が過去最高の2,141兆円になったことも報告されています(日本銀行)。

経済を活性化させるためには消費の増加が必要不可欠。しかしそんなお金なんてない、貯蓄に回すほかない日本人。国そのものの「貧困」は負のスパイラルをもたらし、私たちの生活を苦しめ続けています。

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