赤楚衛二、『Re:リベンジ』で“巻き込まれ役”脱却なるか? “ダーク”な一面に高まる期待

赤楚衛二が主演を務める連続ドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)が、4月11日よりスタートする。

本作は、巨大病院を舞台とした権力争いをきっかけに、さまざまな事件が起こり、登場人物たちの“野心”と“復讐心”が入り乱れ、人間の内に秘めた“欲望”がむき出しになっていくリベンジサスペンス。赤楚が演じるのは、日本屈指の巨大病院「天堂記念病院」の理事長の息子・天堂海斗。海斗は父親との確執から医師にはならず、週刊誌の記者として働いていた。だがある事件をきっかけに、疎遠になっていた「天堂記念病院」へ足を運ぶことに。そして、不仲だと思っていた父親の本心を知った海斗は、過去に父親と交わした大切な約束を思い出す。海斗は、巨大病院で巻き起こる権力争いに“参戦”することを決めるが、それをきっかけに、彼の人生は大きく狂い始めてしまう。

今や映画やドラマに引っ張りだこの赤楚。彼がこれまで演じてきた役は一言でいえば「ピュアで優しく繊細」であることが多かった。たとえば、『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(2022年/TBS系)で赤楚が演じた大庭は、カフェのコンセントを使って充電していたことで訴えられたり、不動産詐欺に巻き込まれそうになったりと何度も事件に巻き込まれ、その度に「潮法律事務所」の“石子”こと石田硝子(有村架純)と“羽男”こと羽根岡佳男(中村倫也)に助けてもらっていた。再就職もなかなかうまくいかなかった大庭は、最終的には「潮法律事務所」でアルバイトをしており、働き口までお世話になっている。

『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(2023年/TBS系)で赤楚が演じた消防士の白浜は、荒廃してしまった未来の世界でもリーダー格として動揺する乗客たちをまとめ、ひとりでも多くの命を助けようと奔走していた。常にマイペースで状況を静観しているだけの直哉(山田裕貴)と、事あるごとに意見が対立して喧嘩腰になってしまうなど、一見すると、男気があるように感じる。だが、白浜には、かつて消火活動中に自らのミスを挽回しようとして先輩消防士に重傷を負わせた過去があり、彼は人知れずその時のトラウマと戦っていたのだ。 このように赤楚の演じる青年は、基本的に、正直で真面目。だから人を騙すなんてもってのほか。逆に人からいいように利用されてしまうのか、心身のバランスを崩してしまったり、貧乏であったりもした。だからこそ、周りと協力することや自分自身の強みを自覚し、行動し始めることでぐんぐん成長する。そのため、ラストでは最初の頃には想像もできなかったほど、堂々として凛々しい男となっている。その過程と最終的な人としての“違い”を見事に演じられるのが、俳優・赤楚衛二の素晴らしさだ。

だが、『Re:リベンジ-欲望の果てに-』で演じる海斗はこれまでとは一味違った人物になりそうな予感がする。病院の理事長を務める親のもとに生まれた海斗はいわゆる御曹司。いつも通り「ピュアで優しく繊細」だったら、きっと親の期待通りに医師になるか、その期待をプレッシャーに感じ、押しつぶされていたことだろう。だが、海斗は父親に反抗するような形で出版社に就職している。この行動からすでに、海斗には強い“反骨精神”のようなものがあることがわかる。しかも、海斗は病院の部外者かつ医者でもない立場でありながら、大病院の内部で繰り広げられる権力争いに立ち向かうことを“自ら”決めている。この点も、様々なドラマで“巻き込まれ型”の役柄を演じることが多かった赤楚にとっては、今までにはないものといえるのではないだろうか。この挑戦的ともいえる海斗の人柄を赤楚がどのように演じていくのかに注目していきたい。

当然だが権力争いは「ピュアで優しく繊細」では勝ち抜くことはできない。海斗は時に人を騙し、ライバルになるといわれている郁弥(錦戸亮)とは文字通りバチバチと音が聞こえてくるような火花を散らすことになるだろう。本作で“ダーク赤楚”が花開く瞬間が目撃できるかもしれない。
(文=久保田ひかる)

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