硝子繊維協会、「充填断熱施工マニュアル」を大幅改訂

充填断熱施工マニュアル」を大幅改訂した。防湿層付グラスウールを使った気密施工のポイントやGWS工法などについて紹介している。

脱炭素の実現に向け、住宅の高断熱化に向けた動きが加速している。

こうしたなか、硝子繊維協会は適切な断熱施工の重要性を改めて訴求するため、24年1月にグラスウール断熱材の「充填断熱施工マニュアル」の大幅改定を実施した。この施工マニュアルは、同協会が推奨するグラスウール断熱材の施工方法を分かりやすくまとめたもの。

改訂版では、防湿層付グラスウールを 使った適切な施工方法・注意事項を詳しく記載した

住宅の断熱性能を高めるためには、高性能グラスウールを使用することはもちろん、それを適切に施工することが重要となる。しかし、断熱施工に不備があると、断熱材の性能が十分に発揮されないだけでなく、結露などによって住宅躯体に深刻なダメージを与える可能性がある。

今回の改訂の大きな特徴は、現状の工法変化に合わせた内容に改訂したほか、気密性能に対するニーズが高まりを見せるなかで、気密性能を向上させる施工のポイントを追記したこと。住宅事業者に対して、「防湿層付の製品を使っても貫通部や取り合い部ごとに適切な気密処理を施せば、気密についても十分な性能を確保できる」(硝子繊維協会断熱委員会・布井洋二委員長)ことを訴求していきたい考えだ。

そのほか、「GWS(ジーダブリューエス)工法」についての紹介も追記した。「GWS工法」とは、住宅の各部などに①石膏ボードの張り上げ施工、②構造用面材などの外張り、③剛床構造の採用を行うことで、気流止め材施工の省略・筋交いを減らすことによる施工性の向上、防火性、壁耐力、気密性、防音性の向上などが可能になる工法だ。

「別張り版」、「付加断熱版」も制作

講演会を順次開催

一方、同協会では、防湿層がついていない、いわゆる裸品のグラスウール断熱材を使用し、防湿シートを別張り施工する断熱仕様が温暖地でも増えてきていることを踏まえ、「別張り防湿気密層施工タイプ版」の改訂と、グラスウール断熱材による充填+外張断熱の付加断熱施工マニュアルも4月~5月頃の完成を目指し、制作を進めている。

今回の防湿層付施工マニュアルと合わせて全3部作で運用し、夏ごろからこの3冊をテキストに用いた「断熱施工講習会」を順次開催していく方針だ。これまでも依頼を受ければ講習会は開催してきたが、3部作の完成を機に自発的な発信を強化していく。

なお、同協会ではグラスウールの適切な施工技術の普及を図るため、05年に「グラスウール充填断熱施工技術マイスター認定制度」を立ち上げている。これは、座学の講習会に加えて、実棟での施工講習会を行い、筆記試験、実技試験に合格した施工者を「優良技能施工者」として認定するもの。現在、マニュアル改訂を記念した連動キャンペーンを開催しており、マイスター試験の合格者先着50名にグラスウールカッターをプレゼント中だ。

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