池田勇人元首相が選挙時にこもった大正建築「旧森川邸」にカフェ 地元の広島県竹原市ゆかりのウイスキー練り込んだケーキなど提供

旧森川家住宅の母屋を活用したカフェ

 大正初期の和風建築で広島県竹原市の重要文化財に指定されている「旧森川家住宅」(中央)で、カフェが開かれている。全国で歴史的建造物の活用を進めるバリューマネジメント(東京)が、所有する市から有償で使用許可を受けて実施。施設や地域の魅力を発信している。

 カフェは、母屋の座敷4部屋(計約80平方メートル)に24席を設置し、雅趣に富んだ庭園を望める。メニューは、竹原出身のニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝にちなみ、同社のウイスキーを生地に練り込んだ自家製ケーキを提供。こだわりの紅茶や地元特産のブドウのジュース、市内3酒蔵の日本酒を楽しめる。

 施設は酒造業などを営み、旧竹原町長を務めた森川八郎の邸宅だった。塩田の一部を埋め立てた敷地に母屋や離れ座敷など計9棟があり、竹原出身の池田勇人元首相が選挙時にこもって戦略を練ったとも伝えられている。有料で公開し、2022年度は約5千人が訪れた。

 ただ今後は維持管理費の増加が見込まれ、市は収益性を高めるため入館者の増加などに向けた新たな活用策を模索していた。バリューマネジメントが活用を申し出て、2月上旬にカフェを始めた。母屋は、市内の町並み保存地区などで運営するホテルのフロントとしても使用。宿泊客向けのクラブラウンジにもなっている。

 ホテルの堀江美樹支配人(26)は「施設で一息つき、竹原の歴史に思いをはせてほしい」とPRする。不定休で午前11時~午後4時。入館には300円が必要。同住宅☎0846(22)8118。

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