誰でも気軽に...スマートフェンシング 川俣で普及に力、柔らか剣先

スマートフェンシングを実際に行う田代さん(左)と秦さん

 フェンシング競技に力を入れている川俣町と静岡県沼津市、大日本印刷(東京都)は10日、連携して「スマートフェンシング協会」を設立した。スマートフェンシングは誰でも気軽にフェンシングを体験できるスポーツ。同協会は公式大会や体験イベントを行い、競技に触れる環境をつくることで裾野拡大を目指す。
 
 スマートフェンシングを発案した大日本印刷社員の天利哲也氏が協会の代表に就任。東京五輪フェンシングエペ団体で金メダルを獲得した宇山賢(さとる)氏と提携し、各地で講演会やイベントなどを行うことで競技の魅力を伝えるという。

 大日本印刷がスマートフェンシングを通じた競技普及を組織的に進めようと、フェンシング大会開催や競技を通じたまちづくりを行う川俣町、沼津市に協力を求め、協会を設立した。今後は企業、自治体などと協力し、公式大会や全国大会の開催を目指す。川俣町では昨年度、同町の国際交流協会主催のイベントでスマートフェンシングを実施している。本年度も町内のイベントなどで体験できるよう準備を進める方針だ。

 競技に使う剣、ジャケットなどの開発、制作、修理は、川俣町の手工芸店「宗永」が一手に担う。天利代表の大学時代の後輩である町職員の紹介で、店主の菅野永子さん(61)、夫の幹雄さん(68)ら3人が製作に携わる。1ミリ単位の細かい作業をズレがないよう一つ一つ手作業だ。永子さんは「町のいち手芸屋が関わることができるのは誇り」と笑顔を浮かべる。

 同町の川俣中フェンシング部は、新入部員の体験や基礎練習にスマートフェンシングを取り入れている。部長の田代凌雅(りょうが)さん(3年)は「気軽に楽しみながらできる点がいい」と利点を語る。同町フェンシングスポーツ少年団顧問の秦秀行さんは「小中学生が競技に触れやすくなる」と、競技人口の拡大に期待を寄せた。
 
スマートフェンシング 2018年に大日本印刷社員の天利哲也氏が発案。導電性のあるジャケットを着用し、強度の高いプラスチックやスポンジなどでできた柔軟性のある専用の剣で突き合う。剣はセンサーと通信機器を内蔵しており、ジャケットに当たると得点が入る。専用のスマートフォンアプリを使って採点できる。

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