たとえ話が仇に? 元選手&現解説者がヤマルに「信号機で生活する」と発言、UEFA・バルサ・PSG激怒で取材中止に

写真:バルセロナのヤマル(右)をめぐる“ある発言”が物議 ©Getty Images

スペインメディア『モビスタール・プルス』で解説を務める元アルゼンチン代表GKヘルマン・ブルゴス氏の発言が波紋を広げている。

ブルゴス氏は、現役時代に母国アルゼンチンの“名門”リーベル・プレートのほかに、マジョルカやアトレティコ・マドリードなどでプレー。長髪に赤いキャップを被る特異なスタイルでも注目を集めた人物だ。現役引退後はロックバンド活動に勤しみ、2005年からはアトレティコ・マドリードの下部組織指導も兼務。ディエゴ・シメオネ監督が同クラブの指揮官に就任した2011年からはアシスタントコーチとして補佐を担った。

現在は『モビスタール・プルス』の解説者として活動するブルゴス氏。しかし、現地時間4月10日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝1stレグのパリ・サンジェルマン(PSG)vsバルセロナ戦の試合開始直前に物議をかもす発言をしてしまった。

同メディアは、試合前に選手たちが通るスタジアム内のトンネルの様子を撮影。バルセロナに所属するスペイン代表FWラミン・ヤマルが肩と両足でボールを扱っている姿が捉えられると、スタジオにいた司会のスサナ・グアシュ氏は「ラミンのタッチとクオリティを見てほしい」と興奮気味に叫んだ。

すると、ブルゴス氏は「サッカーは人生と同じだ」と語り出し、次のように続けた。

「しかし、彼は成功できなければ最終的に信号機で生活することになる」

ブルゴス氏の発言の直後、SNS上では同氏に対する批判の声が殺到。「信号機で生活する」という表現が、信号待ちをしている車の運転手からチップを受け取ることを目的に曲芸を行う人を指しているのではないかという指摘が相次ぎ、職業差別や人種差別の意図がある発言だという意見が噴出した。

その結果、CLの主催者である欧州サッカー連盟(UEFA)やヤマルの所属クラブであるバルセロナだけでなく、PSGもブルゴス氏の発言に不快感を示し、結果的に『モビスタール・プルス』に監督や選手へのインタビューを認めない決断が下された。

“締め出し”を受けた同メディアのリカルド・シエラ氏は、中継先から「多くの視聴者がバルサ関係者のインタビューを心待ちにしていたと思うが、UEFA、バルサ、そしてPSGから我々に取材対応を許可しない旨が伝えられた」と状況を説明。「彼らは、試合前にスタジオで発せられた“ある発言”に激怒している」と伝え、謝罪を行った。

その後、スタジオにカメラが戻ると、当事者のブルゴス氏も謝罪。「私は『もし彼のような技術があったら』というたとえ話をしたかっただけ。誰かを傷つける意図はなかった」と釈明した。

また、ブルゴス氏は「ときにはユーモアが問題を生じさせることもある。今のような時代には、あらゆることに適応しなければ」ともコメントしている。

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