日米首脳会談、中国念頭に防衛関係強化を発表 日本人宇宙飛行士の月面探査参加でも合意

アメリカのジョー・バイデン大統領と、国賓待遇で米訪問中の日本の岸田文雄首相は10日、ワシントンで会談した。中国の潜在的脅威に直面する中、防衛協力の強化を互いに誓った。

バイデン大統領と岸田首相は会談後、ホワイトハウスのローズガーデンで共同記者会見に臨み、オーストラリアも加えた防衛ネットワークを拡大する計画などを発表した。

バイデン氏は、米航空宇宙局(NASA)の月面有人探査「アルテミス」計画に、日本人宇宙飛行士が参加するだろうと述べた。

これが実現すれば、アメリカ人以外の宇宙飛行士が初めて月面に降り立つことになる。

バイデン氏は、これらの合意は「我々(日米)が同盟関係を結んで以来、最も重要なアップグレード」だと述べた。

両首脳は約2時間にわたる会談で、主にインド太平洋地域における防衛問題や、ウクライナやパレスチナ自治区ガザ地区で続く戦闘に焦点を当てた。

「ウクライナは明日の東アジア」

岸田首相は共同会見で、北朝鮮や台湾、中国をめぐる問題が特に会談で議題となったと説明。「法の支配に基づく国際秩序」の維持の重要性を強調した。

そして「力または威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所であれ、断じて許容できない」とした。

ロシアによるウクライナ侵攻については、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と岸田氏は付け加えた。

バイデン氏は、米軍が日本側との共同の指揮系統を確立することで、両首脳は合意に至ったと述べた。

日米はまた、オーストラリアと共に同地域での防空・ミサイル防衛網を構築するほか、イギリス軍との3国間軍事演習を行うとした。

岸田氏は、日米が中国からの「挑戦」に対応し続ける一方で、「中国と対話を継続し、共通の課題については協力していくことの重要性を確認した」と述べた。

宇宙分野については、日本が「月面与圧ローバー」を提供・運用し、アメリカが日本人宇宙飛行士2人のアルテミス計画への参加を認めることで合意した。

会談に先立って行われた歓迎式典では、バイデン氏はアメリカと日本が「最も親密な友人」になったと述べた。

最大の対米投資国

両首脳は、日本の新日鉄が米鉄鋼大手USスチールを約150億ドル(約2兆円)で買収する計画についても簡単に触れた。岸田氏はこの取引が双方にとって望ましい方向に展開することを望むと述べた。

バイデン氏は、アメリカの労働者と日米同盟に「寄り添う」と誓った。バイデン氏は先月、アメリカの「象徴的な」企業はアメリカの手に残るべきだと述べていた。

日本は最大の対米投資国で、100万人以上のアメリカ人が日本企業に雇用されている。

岸田氏は「日本からの投資は、今後ますます拡大基調にあり、両国にとってウィンウィンな流れを確実になものにしていきたいと考えている」と述べた。

10日夜(日本時間11日午前)には豪華な夕食会も開かれた。

ホワイトハウスによると、このイベントのテーマは「春の恵み」で、米ミュージシャンのポール・サイモン氏の演奏などが予定された。

招待客には両国の政府関係者らのほか、俳優のロバート・デ・ニーロ氏、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)、ビル・クリントン元大統領夫妻、元フィギュアスケート選手のクリスティ・ヤマグチ氏、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏らが名を連ねた。

岸田首相は11日に米議会で演説するほか、バイデン氏とフィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領との3首脳会談に臨む予定。

(英語記事 US and Japan boost defence ties with eye on China

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