韓国総選挙、最大野党が地すべり的勝利 尹政権に厳しい「中間評価」

10日に行われた韓国総選挙(定数300)の開票作業が11日午前にほぼ終了し、最大野党「共に民主党」(DPK)が地すべり的勝利をおさめた。国会の「ねじれ」状態は続くことになる。

リベラル政党のDPKは単独で過半数の175議席を獲得した。複数の小規模政党と合わせた野党勢力は192議席となった。与党「国民の力」(PPP)は108議席にとどまった。

今回の選挙は、3年の任期が残る尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領を評価する「中間国民投票」と広く受け止められている。

結果を受け、韓悳洙(ハン・ドクス)首相や与党トップの韓東勲(ハン・ドンフン)氏らが辞意を表明した。

DPKが多数派の議会で自らの政策を実現するのに苦慮してきた尹氏とPPPは大敗を喫した。DPKの勝利は、同党が議会で法案を迅速に通過させられることを意味する。

韓国の選挙制度では、小規模政党は得票率で足りなくてもいくらかの議席が割り当てられる。DRKとPPPはそれぞれ系列の衛星政党の議席を含めることで、獲得議席を増やしている。

「国民の偉大な勝利」

DPKの李在明(イ・ジェミョン)党首は11日、「これは(共に)民主党の勝利ではなく、国民の偉大な勝利だ」と述べた。

「現在の経済危機に対処するには、与野党の政治家が力を合わせなければならない。(共に)民主党は生活危機を解決するために先頭に立つだろう」と、李氏は記者団に述べた。

李氏は2022年大統領選で尹氏に僅差で敗れた。今回の総選挙の結果が、李氏の大統領戦への再出馬を後押しする可能性もある。

尹氏は食料価格の高騰や急速に進む高齢化、現在進行形の医師によるストライキなど、多くの問題への対処を迫られている。

ここ数週間では、有権者がインフレによって被る影響を理解していないように見えると批判されている。

尹氏は先月、ソウル市内のスーパーマーケットを訪れた際に、875ウォン(約98円)の長ネギの束を見て「リーズナブル」だと発言し、批判を受けた。

この長ネギは割引されていたもので、通常は3000~4000ウォン(約336~448円)で販売されている。

この発言は反発を呼び、長ネギを手に農家が抗議したり、DPKが選挙集会を開くなどした。

尹氏の妻の金建希(キム・ゴニ)氏は、高級バッグを知人から受け取ったとされる疑惑で物議を醸している。PPPの複数幹部にも汚職や職権乱用疑惑が浮上している。

DPKもまた、党内の政治論争や内部闘争に悩まされ、汚職疑惑にも直面している。

(英語記事 South Korean opposition wins parliamentary vote in landslide

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