中国海南省の科技小院、農業人材の育成で郷村振興に貢献

中国海南省の科技小院、農業人材の育成で郷村振興に貢献

2日、海南省瓊海市の東昇農場で栽培されているパイナップル。(海口=新華社記者/陳子薇)

 【新華社海口4月11日】中国海南省では4月に入って日差しが強くなり、瓊海(けいかい)市の東昇農場でもパイナップルが順調に成長している。畑の脇では、現地で農業実習をする大学院生がパイナップルやドラゴンフルーツ、イエローピタヤ、紅茶、米などを展示し、近隣から多くの村民が試食に訪れていた。

 学生が所属するのは「科技小院」と呼ばれる実習組織で、農業専攻の大学院生を生産の第一線に派遣し、複合型人材に育成することを目的に各地に設立されている。

 展示現場では、国有石油大手、中国海洋石油集団(CNOOC)傘下の化学製品メーカー中海石油化学の子会社、海油富島(上海)化学の華南分公司で農業技術者を務める曲均峰(きょく・きんほう)さんが切りたてのパイナップルの糖度を測っていた。糖度計の数値は17度を超えている。曲さんによると、パイナップルの糖度は通常10度前後だが、専門的な指導の下で育ったパイナップルは10度をはるかに上回るという。

中国海南省の科技小院、農業人材の育成で郷村振興に貢献

2日、パイナップルの糖度測定。(海口=新華社配信/蒋鑫)

 地元のパイナップル生産者、陳道欣(ちん・どうきん)さんは「2000年ごろにパイナップルを栽培し始めたが、当時は使う肥料が分からず収量が低く、品質も不安定だった。曲さんとは長い付き合いで、ここ数年は富島化学のパイナップル専門研修に参加している。彼から受けた教えは少なくない」と自らの栽培経験を話した。

 中海石油化学は2023年9月、海南大学と海南特産10作物の科学的施肥システムを研究し、科技小院を建設する協力協定を結んだ。

 科技小院を構成するのは、一つの農家の中庭と1人または数人の大学院生、技術を身に着けた農家の人たち、基礎的な技術訓練とサービス施設、試験農地と技術モデルの実践者であり、農家や研究者、産業技術者の力を結集し、産業の最先端と農地をつなぐ役割を存分に発揮し、農業の効率向上、農家の収入増加、農村のグリーン(環境配慮型)発展に的確なサービスを提供している。

中国海南省の科技小院、農業人材の育成で郷村振興に貢献

2日、農家に農産物を紹介する科技小院の大学院生。(海口=新華社記者/陳子薇)

 中海石油化学と海南大学が共同で建設する瓊海黄晶果科技小院など3カ所の科技小院は23年中に建設認可を受け、中海化学の科技小院を通じた農業支援も大きく進展した。

 黄晶果は南米アマゾン川流域が原産の熱帯果実アビウを指す。海南省に新たに導入された優良品種の一で、黄晶果科技小院は海南大学南繁学院の呉偉(ご・い)教授が責任者を務める。呉氏は「中海化学とのプロジェクト協力は、黄晶果の栽培・管理技術を徐々に向上させ、運用が容易で普及可能な栽培システムを作り出す。海南での栽培を広げていくことになる」と語った。

 科技小院モデルの受益者は農家にとどまらない。人材育成の新モデルとして大学院教育にも新たな育成プログラムを提供している。大学院生は科技小院で生産現場に深く入り込み、農家と生産の最前線に親しみ、より多くの実践的技能を学ぶことができる。(記者/陳子薇)

中国海南省の科技小院、農業人材の育成で郷村振興に貢献

2日、農家に農産物を紹介する科技小院の大学院生。(海口=新華社記者/陳子薇)

中国海南省の科技小院、農業人材の育成で郷村振興に貢献

2日、黄晶果科技小院で作業をする大学院生。(海口=新華社配信/蒋鑫)

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