【パリ五輪・パラ】 セーヌ川でのトライアスロン水泳、中止の可能性 水質問題で

今夏に開催予定のパリ・オリンピック(五輪)組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は10日、大雨がセーヌ川の水質に影響した場合、トライアスロンのスイム(水泳)が中止となる可能性があると発言した。

慈善団体サーフライダー・ファウンデーション・ヨーロッパが先に行った調査では、セーヌ川から「注意すべき」レベルの大腸菌が検出された。

エスタンゲ会長は、トライアスロンを大会の後半に移動させるなど、緊急措置も計画していると述べた。

その上で、「大きな困難になるだろう」と語った。

英バーミンガムで行われた国際競技連盟連合の会合でのこの発言は、英紙ガーディアンが最初に報じた。エスタンゲ会長はこの会合で、「雨天の場合は延期できる。(トライアスロンは)大会の最初に予定されているので、条件が良くなるのを待つことができる。そのため、我々はセーヌ川を使用できると確信している」と述べた。

一方で、「スイムを行えないという最終判断もあり得る。これは国際競技連盟のルールの一部だ。もちろん、それは避けたい」とした。

パリ五輪は7月26日に開幕する。トライアスロンは男子が30日に、女子が31日に、混合は8月5日にそれぞれ予定されている。

セーヌ川では他にも、マラソンスイミングと、8月28日に開幕するパラリンピックのパラ・トライアスロンが行われる予定だ。

サーフライダー・ファウンデーション・ヨーロッパによると、これらの競技のスタート地点であるアレクサンドル3世橋の近くで採取されたサンプル14件が、安全基準を満たさなかった。

競技前に大雨が降った場合、水中のバクテリアが増える可能性がある。

パリ五輪に向けたテスト大会として、昨年8月に予定されていたオープンウォータースイミングのワールドカップとワールドトライアスロンパラカップは、どちらも水質問題で中止となった。一方、ワールドトライアスロンは同月後半に実施された。

主催者によると、セーヌ川を安全に泳げるようにするための再生プロジェクトに約14億ユーロ(約2300億円)が費やされ、汚染のリスクを減らすための雨水貯水池も建設される予定だという。

オリンピック期間は毎日、水質検査が行われ、安全が確認される。

セーヌ川では、2025年までに川岸からアクセス可能な三つの屋外遊泳場がオープンする予定だ。同年は、健康上の懸念からフランス政府がセーヌ川での遊泳を禁止してから102年後に当たる。

「大規模な投資計画がある。レガシーについて語るなら、このプロジェクトは素晴らしいものだ」と、エスタンゲ会長は述べている。

(英語記事 Paris 2024: Triathlon swimming could be cancelled because of poor water quality

© BBCグローバルニュースジャパン株式会社