京成、宗吾車両基地の拡充工事起工式を実施 京成酒々井~宗吾参道間に新工場 2028年度末頃までの完成見込む

宗吾車両基地パース画像(画像:京成電鉄)

千葉県の酒々井町で11日、京成電鉄宗吾車両基地の拡充工事着工に伴う起工式が行われました。新工場は現在の車両基地西側に、2028年度末頃までに整備される見込みです。

現在の宗吾車両基地と新工場の位置関係(画像:京成電鉄)

京成電鉄が新工場を整備する理由は

京成電鉄が新工場を整備する理由は2つあります。

1つは2028年度末に予定されている「成田空港の機能強化」に対応するため。

成田空港では滑走路の整備・延伸などが計画されており、今後更なる空港利用者の増加が見込まれています。運行本数の見直しや増発についてはまだ「検討中」とのことでしたが、空港輸送を担う京成電鉄としては、将来の旅客需要確保に向けて準備を進めておかなければなりません。

もう1つの大きな理由が、車両工場の老朽化。京成電鉄は津田沼と高砂に車庫を有していますが、車両基地は宗吾だけ。しかし現在の車両工場は築造開始からおよそ50年が経過しています。安全性を強化するための抜本的な策として、工場そのものの建て替えが必要な時期が来ているのです。

京成電鉄は2023年10月末の取締役会で新工場建設工事の着工について決議し、12月に施工会社を決定。今年2024年1月から整地工事を始めています。新工場の建設予定費はおよそ488億円です。

新工場のスペックは

京成電鉄は新工場の建設にあたり、新たに6.2ヘクタールの土地を取得しています。敷地内には4ヘクタールの人工地盤を整備し、その上に新工場を整備。新工場の敷地面積は3.2ヘクタール。現在の工場が2.2ヘクタールですから、およそ1.5倍の大きさになります。

工事順序図。整地が終わった後に高架橋のような人工地盤を築き、その後上屋などを構築していきます。(画像:京成電鉄)

機能面での違いを見てみましょう。現在の工場では車両を移動させるために門型クレーンを使用しています。新工場ではトラバーサーを導入して車両を移動させるため、車両の落下等の危険がなくなり、より安全に作業ができるようになります。天井付近にも余裕ができるため、空調設備を整備できるようになるのもメリットと言えるでしょう。

また、現在の工場は8両編成に対応しておらず、検査の際に分割する必要がありました。新工場では8両編成をそのまま入場させることができるため、作業の効率化が図れます。検査できる両数は現在の年間最大220両から250両に増える見込みです。

現在の工場については、新工場完成後に解体・撤去を行う予定です。跡地の利活用方法についてはまだ決まってはいませんが、乗務員の教育用の施設などを検討しているとのことです。

※2024年4月12日14時25分追記……誤字を修正いたしました(鉄道チャンネル編集部)

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