ドローン、AIで避難支援 アプリに映像や予測情報 浪江で運用開始

「ザ・ガーディアン」の利用イメージ(会沢高圧コンクリート提供)

 福島県浪江町と総合コンクリートメーカーの会沢高圧コンクリート(北海道苫小牧市)は、ドローン映像や衛星データなどを組み合わせて津波や豪雨から住民を守る精密避難支援システム「ザ・ガーディアン」を開発し、町内で11日、全国に先駆けて運用を始めた。スマートフォンの専用アプリに津波のライブ映像を配信したり、豪雨による浸水エリアや日時の予測情報を提供するなど、住民の早期避難につなげる。

 同社が浪江町の南産業団地に昨年6月に開所させた研究開発型生産拠点「福島RDMセンター」で開いたイベントで発表した。システムは両者が2021年度から3年間、実証を進めていた。運用に先立ち、町内に耐震性能を備えた格納庫とエンジン搭載の大型ドローンを設置した。

 ドローンは地震波を検知すると自動で飛び立ち、最大6時間飛行できる。津波警報が発令された際に海岸の様子をライブ配信する。アプリの画面では避難すべき方向を矢印で指示してくれる。豪雨災害では、気象観測衛星のデータや過去の降水量のデータなどを組み合わせ、人工知能(AI)が浪江町を流れる請戸川と高瀬川の2河川の氾濫の発生時刻と浸水エリアを3日前から予測し、避難を呼びかける。

 同社は、このシステムを全国の自治体に広げていく考え。開発プロジェクトリーダーを務める宮田達也常務は「被災者をつくらないという発想で、新しい防災の形を発信したい」と話した。アプリのインストールはアンドロイド版は可能。iPhone版は半年以内にリリースする。

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