導入企業が増えている?特別休暇制度とは

みなさんはしっかり「休む」ことができていますか。
日本では現在、働き方改革が行われ、休日や残業時間の見直しも多く行われています。
法律で定められた休暇・休業は「法定休暇」と呼ばれ、年次有給休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、生理休暇などがあります。

それとは別に、就業規則などにより会社が任意に定めた「法定外休暇」、別名「特別休暇制度」というものがあるのをご存知でしょうか。
法定外休暇の有名な例としては、慶弔休暇(結婚式や葬式などの慶弔に関わる休暇)や夏季休暇などがあります。
特別休暇制度の充実は、従業員のモチベーションアップや求職者へのアピールにもなるため、うまく取り入れて利用していきましょう。

特別休暇制度とは

厚生労働省では「特別休暇制度パンフレット」を公表しています。
特別休暇制度パンフレットでは、「特別休暇制度」について、以下の3つを中心に取り上げています。

・年次有給休暇の取得促進に資する特別休暇
・予測できない事情に備えた特別休暇
・従業員の多様な活動を支援する特別休暇

そのなかでも、特別休暇パンフレット内で例として紹介されている「特別休暇制度」について紹介いたします。

特別休暇制度の具体例

特別休暇パンフレットには具体的な特別休暇制度の例が5つ紹介されています。

【病気休暇制度】

風邪や感染症などの私傷病や治療により、療養などが必要となった場合に取得できる休暇制度です。
長期にわたる通院などが必要な労働者に対して、治療を受けながらの就労をサポートするために付与されます。
病気休暇を導入している企業は26.5%、本人の私傷病や治療などの事由で取得できる他の制度・方法で代用している企業が30.4%となっています。
比較的に知名度が高く、導入している企業も多い特別休暇制度です。

【犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度】

「犯罪被害者等」とは、犯罪などの被害に遭った本人とその家族やご遺族のことです。
犯罪被害者は、事件や事故の直後に警察へ出向かなければならないタイミングが多く、また、病院での診療を要する場合もあり、さまざまな手続きなどに多くの時間を割く必要があります。
二次被害として「事故に遭ったことによる精神的ショックや身体の不調」「捜査や裁判の過程における精神的、時間的負担」「医療費の負担や失職、転職などによる経済的困窮」「周囲の人々の無責任なうわさ話や、マスコミの取材、報道による精神的被害」を受けやすい状況にあります。
犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度は、そのような心身の不調や治療、手続きの負担を減らすために活用できる制度です。

「災害・犯罪被害支援制度休暇」という制度を導入している会社もあり、2018年に起きた西日本豪雨災害の際に従業員の福利厚生として役立った実績もあります。
犯罪被害者等の被害回復のための休暇を導入している企業は1.4%、導入予定・検討中の企業が14.7%となっています。
まだ、認知度が低いこともあり導入している企業が少ないのですが、導入予定・検討中の企業も増えています。

【裁判員休暇制度】

2009年に裁判員制度が開始され、従業員が裁判員に選ばれた場合には、裁判員の職務に必要な休暇の取得が認められています。
しかし、その休暇を有給とするか無休とするかは各企業の判断となっています。
裁判は時間がかかるため、活用できる休暇制度があることで従業員の安心へとつながります。
裁判員休暇制度を導入している企業は42.1%、導入予定・検討中の企業が19.6%となっています。

【ボランティア休暇制度】

地域貢献活動、社会貢献活動、自然・環境保護活動、災害復興支援活動などに使用できる休暇です。
ボランティア活動においては、「参加したくても時間がない」などの時間的な制約が大きな課題となっています。
そんな課題を解決するため、従業員の積極的なボランティア活動参加の促進を目的に活用できるのがボランティア休暇制度です。
ボランティア休暇制度を導入している企業は6.5%、導入予定・検討中の企業が16.6%となっています。
活用した企業の従業員からは、日頃関わることのない人との交流や他業種のつながりが増えたなどの好意的な声があり、働く上でのメリットもあると言えるでしょう。

【ドナー休暇制度】

白血病などに対して有効な治療法である移植療法のドナーを希望した場合、登録や提供までに入通院が必要です。
日本骨髄バンクを介して骨髄・末梢血幹細胞提供をする場合、提供を行う患者と適合してから採取後の健康診断まで10日前後、平日の日中に医療機関に通わなければいけません。
ドナー休暇制度はドナーとして提供する方の、心理的負担などの軽減に活用できます。
ドナー休暇制度を導入している企業は3.3%、導入予定・検討中の企業が18.3%です。
犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度と同じく、認知度が低いため導入している企業が少ないのですが、導入予定・検討中の企業も増えており、今後に期待できます。

特別休暇制度を導入して活用してみよう

働き方・休み方改善ポータルサイトでは特別な休暇制度の導入事例を紹介しています。
「業種」「従業員規模」「導入している休暇制度」別に検索ができ、企業ごとに導入のきっかけや効果を閲覧できます。

働き方・休み方改善ポータルサイト 特別な休暇制度導入事例

特別休暇制度は、企業の福利厚生や従業員採用時のアピールにも活用できます。
働く人が柔軟な働き方、休み方を自ら選択できるようにすることで、生産性向上や多様な人材の確保につながることでしょう。

<参考>
厚生労働省「特別休暇制度パンフレット2023」
働き方・休み方改善ポータルサイト「特別な休暇制度とは」

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