NFLスター選手で人気俳優、殺人事件で無罪になるも強盗事件で有罪 O.J.シンプソンさん死去

アメリカン・フットボールNFLのスター選手から人気俳優となった後、元妻らの殺人事件で起訴されたものの無罪となったO.J.シンプソンさんが10日、死去した。76歳だった。家族によると、がんを患っていた。

家族は声明で、シンプソンさんが「大勢の子供や孫」に囲まれながら死去したと明らかにした。

1994年にロサンゼルスで、元妻ニコール・ブラウンさんとその友人のロン・ゴールドマンさんがブラウンさん宅前で刺殺される事件が起きると、シンプソンさんは重要参考人とされた。出頭する予定の当日、シンプソンさんは元チームメートと乗用車で逃走。シンプソンさんの乗った白い乗用車がパトカーの車列に追跡される様子は生中継された。

逮捕後の裁判はアメリカで「世紀の裁判」と広く報道され、検察はシンプソンさんが嫉妬による激情にかられて元妻とその友人を殺害したのだと主張した。

これに対して弁護側は、警察が人種差別を動機に、シンプソンさんを犯人に仕立てたのだと主張した。

陪審団は最終的に、シンプソンさんが「絶対に100%無実」だとの評決を出した。この無罪評決はその後、しきりに議論されることになる。

被害者の遺族は刑事裁判の結果を不服として、1997年に民事訴訟を起こした。この民事裁判の裁判長は、シンプソンさんが2人の死亡について責任があると認定し、遺族に3350万ドルの損害賠償を支払うよう命じた。

2007年には、ラスヴェガスのホテルで起きた別の強盗事件で逮捕された。自分のNFL時代に関する物品を取引していた業者2人を、共犯4人と共に銃で脅し、物品を盗んだ罪で翌年に有罪となった。禁錮33年の実刑を言い渡されたが、仮釈放が認められるまでの最短期間の9年間、服役した後、保護観察付で仮釈放された。

その波乱の人生を振り返る。

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