ハリポタ作者、映画出演者との意見の違いを再び強調 トランスジェンダーめぐり

「ハリー・ポッター」シリーズの作者J.K.ローリング氏が、同シリーズの映画に出演したエマ・ワトソン氏やダニエル・ラドクリフ氏との意見の違いを、あらためて強調した。双方はトランスジェンダー(出生時の身体的性別と性自認が異なる人)のアイデンティティーと権利をめぐり、立場を異にしている。

ローリング氏は、性自認に関する見解や、トランスジェンダーの女性を女性専用スペースに入れるべきではないとする発言などのため、トランスジェンダーを嫌悪していると非難されている。

一方、ラドクリフ氏とワトソン氏は、ローリング氏が2020年に性自認に関する見解を表明した際、映画「ハリー・ポッター」シリーズの他の出演者らと共に、ローリング氏の意見に反対した。

ローリング氏は最近も、自分が暮らす英スコットランドで施行された新しいヘイトクライム(憎悪犯罪)法を批判。複数のトランスジェンダー女性を「男性」と呼んだ上で、同法に基づき自分を逮捕してみろと警察を挑発した。これについて、スコットランド警察は対応しないと決めた。

ローリング氏はさらに10日には、英国民保健サービス(NHS)が18歳未満に提供する性自認関連治療の質に懸念を示したNHSイングランドの調査報告書について、

ヒラリー・キャス医師によるNHS報告書は、ジェンダーについて子供にケアを施すにあたり、NHSでは科学的根拠にもとづく医療の提供がきわめて不十分だと指摘した。ローリング氏は、この報告書を「重大な分岐点」だとたたえた。

ローリング氏のこの発信を受け、ソーシャルメディア利用者の1人が「ダンとエマがあなたに公の場で謝罪するのを待っている......あなたが彼らを許してくれると確信しつつ......」と投稿した。

するとローリング氏は「残念ながら、確信しない方がいい」と返答し、次のように続けた。

「女性が苦労して勝ち取ってきた権利を侵食しようとする運動にすり寄って、自分の発言力の大きさを利用して未成年の性別移行を応援した、そんなセレブたちが謝罪すべき相手は、移行をやめてトラウマを抱える人たちや、ひとつの性別専用の空間を必要とする弱い立場の女性たちだ」

ローリング氏のこの投稿について、BBCはラドクリフ氏とワトソン氏にコメントを求めている。

原作者と出演者らの意見の違い

トランスジェンダーをめぐるローリング氏のさまざまな発言については、批判する人もいれば支持する人もいるが、ローリング氏自身は批判をものともせずに自分の主張を続けている。

自分はトランスジェンダーを頭ごなしに嫌悪しているわけではないとして、ローリング氏は「すべてのトランスジェンダーの人が、自分にとって本物で快適だと感じる生き方をする権利」を尊重すると主張。トランスジェンダーの人が差別や虐待の対象にならない状態を願うと、かねて話していた。

ラドクリフ氏は2020年にローリング氏が最初にトランスジェンダー女性の呼び方について見解を発表した際、「トランスジェンダーやノンバイナリー(性自認が男性だけでも、女性だけでもない人)のアイデンティティーを無効にするのではなく、支援するためにもっと努力する必要があるのは明らかだ」と発言していた。

また、ローリング氏のコメントが映画シリーズのファンにとって、映画を「汚す」ことにならないよう願っていると付け加えた。

、「トランスジェンダーの人たちは、『自分はこういう人間』だと本人が言う通りの存在。自分が何者か、たえず疑問視されたり否定されたりすることなく、自分らしく人生を生きる資格がある」とソーシャルメディアに投稿していた。

(英語記事 JK Rowling reignites row with Harry Potter stars Daniel Radcliffe and Emma Watson

© BBCグローバルニュースジャパン株式会社