2024年NFLドラフト1巡目であらゆるシナリオに備えるバイキングスGMアドフォ・メンサ

ミネソタ・バイキングス【NFL】

今オフシーズンに起こった出来事によって、ミネソタ・バイキングスは他のNFLのチームに推測させ続ける立場にはならなかった。

バイキングスはクオーターバック(QB)を求めている。これは他の31チームも同様に知っていることだ。ただし、バイキングスは自分たちの秘密を明かすつもりはないし、チームの資産——QBカーク・カズンズの離脱に伴って得た1つを含む、計2つの1巡目指名権——を使って、ただクオーターバックを選ぶためにトレードアップするわけでもない。

バイキングスのジェネラルマネジャー(GM)クウェシ・アドフォ・メンサは、現地11日(木)に記者会見で次のように述べた。

「電話がかかってくるかもしれないという可能性に備えて、自分たちをより良い状態にしておきたい。もちろん、電話がかかってこなくてもいいんだ。もし電話がかかってこなかったとしても、素晴らしい選手を選んで、本当にいい状況になるように準備をしておく。繰り返しになるが、クオーターバックについてはよく話が上がる。それは、このスポーツで最も重要なポジションであるだけでなく、全チームスポーツの中で最も重要なポジションだからだ。でも、クオーターバックをうまく起用するだけでは不十分だ。クオーターバックをうまく起用すると同時に、彼を中心にチームをうまく構築していくことが大切だ」

「われわれのオフシーズンを振り返ると、クオーターバックに関する戦略とその他すべてを天秤にかけているような状況が見える。ドラフトも同じアプローチを取るだろう。大きなリスクを冒してまでも、それを中心にチームを構築できないようなことは、望まないはずだ。違う場所に行くことになるが、それでもまだ望んでいた場所にはいないという状態になる。だから、われわれはそのような視点で、この意思決定を考えている」

基本的にアドフォ・メンサGMは、カズンズの後継者をドラフトで指名するためだけに、2つの1巡目指名権を使って順位を上げてクオーターバックを指名することはないだろう。一番重要なのは、適切な人材を見つけることであり、バイキングスがフリーエージェント(FA)でサム・ダーノルドと契約したのは、最悪のシナリオを回避するためだ。

とはいえ、バイキングスはクオーターバックに長期的なオプションを必要としている。ダーノルドはまだ自身が確実な解決策であることを証明できていない。しかし、それはバイキングスに足を踏み入れるどのルーキーにも、同じことが言えるだろう。たとえ、それが1巡目指名選手だったとしてもだ。

アドフォ・メンサGMは、バイキングスがダーノルド以上の選手を必要としているという現実から目を背けているわけではない。ただ、2つの1巡目指名権(全体11位と23位)を持っており、タイミングと相性が合えば、順位を上げるための十分な資本を持っていることになる。リスクはつきものだが、だからといってアドフォ・メンサGMが——あるいはどのジェネラルマネジャーにおいても同じことが言えるが——このような行動に出ることをためらうべきではない。タンパベイ・バッカニアーズの元ヘッドコーチ(HC)ブルース・エリアンスがかつて言ったように、“リスクを冒さなければ、ビスケットは得られない”のだ。

アドフォ・メンサGMはこう語っている。

「リスクを伴うからといって、それを避ける必要はない。それを理解するのは難しいことだが、理解できれば、どんな見返りがあるか分かるだろう? それを考慮し、評価しなければならない。他のチームが下した決断の数々を振り返れば、自分が正しいと思っていた決断が、実際に下した決断と違ったとしても、その結果が良好だった例はたくさんある」

「私たちの勝算はマージンよりはいいと思う。どの程度の確率なのか? かなりリスクが高いことだと思うけれど、リスクが高いからといって、それを避ける必要はないし、怖がる必要もない。ただ信じるしかない。不確実なことだろう? 不確実なゆえ、リスクを冒さなければならないが、そんなことでためらうつもりはない」

カズンズがチームを離れたことで、バイキングスが特に優位な立場にいるわけではない。それが必死の行動につながることを意味するわけではないのだ。だからこそ、アドフォ・メンサGMは、自身のチームが保有する2つのドラフト上位指名権を保険として見ていると説明した。もしバイキングスが気に入っているクオーターバックがすでに選ばれてしまい、自分たちの置かれた状況から別のクオーターバックを指名する自信が持てない場合、バイキングスはいつでもクオーターバック以外のトップタレントを獲得することができる。それによって、理想のクオーターバックを見つけるまで、その周りの状況を改善し続けることができるのだ。

アドフォ・メンサGMはさらにこうつけ加えた。

「われわれが本当に気に入っている選手は複数いるが、それだけでなく、ある一定の対価で獲得できる場合、その選手が持ってくる能力も重要だろう。先ほどスキルセットについて触れたが、状況を克服する能力について話すなら、もし選手の能力が低くても、その選手を困難な状況に置かないために必要な人材を獲得する資産を持っている場合、それらの要素も考慮に入れるべきだ」

アドフォ・メンサGMは高レベルのクオーターバックの才能を評価し、現職の立場で重要な決断を下すプロセスにはまだ慣れていないことを認めた。アドフォ・メンサGMは、バイキングスのHCであり元クオーターバックのケビン・オコンネルが“このプロセスの大きな原動力”として挙げ、オコンネルHCから得たような洞察が、異なる経歴を持つ他のコーチからは得られなかったであろうと評価している。

アドフォ・メンサGMはこの方法がバイキングスに合っていると信じている。しかし、最終的にドラフトの夜が訪れると、アドフォ・メンサGMはいくつかの大きな決断を下す前に電話をかける作業を行うかもしれない。そして、すべてが落ち着いた時、アドフォ・メンサGMは4月だけでなく、これから数年間、最も厳しく評価される人物になるだろう。

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