肉眼で見える「二重星」の観察-北斗七星のミザールとアルコル

4月の日没後、北北東の方角に「北斗七星」が見えます。

「北斗七星」は、おおぐま座の腰から尻尾にあたる
7つの明るい恒星からなる星列です。

7つの星は、上図の左上から順に、

ドゥーベ(おおぐま座α星)2等星
メラク(おおぐま座β星)2等星
フェクダ(おおぐま座γ星)2等星
メグレズ(おおぐま座δ星)3等星
アリオト(おおぐま座ε星)2等星
ミザール(おおぐま座ζ星)2等星
アルカイド(別名ベネトナシュ)(おおぐま座η星)2等星

という名前がついています。

このうちζ星ミザールには、伴星アルコルが存在します。

ミザールは2等星、アルコルは4等星。

目のいい人であれば肉眼で見つけられるため
昔は視力検査に使われていました。

★等星とは…

等星とは、恒星(太陽のように自ら光を放つ星)の明るさを
6段階に分けたもので、明るさの単位となっています。

人間の目で見える限界の暗い星を6等星、
1番明るい星を1等星として基準が設けられています。

1等星は6等星の100倍の明るさになるよう定義され、
等星がひとつ上がると明るさが2.5倍になります。
(1等星は2等星の2.5倍の明るさ)

ミザールとアルコルのように、二つの星が
とても近くに見えるものは「二重星」といわれます。

二重星には二種類あり、ひとつは「連星」…
二つの星が実際に近くにあって重力を及ぼし合っている状態。

もうひとつは「重星」…二つの星が実際に近くに
あるわけではなく、地球から見て同じ方向にある状態。

ミザールとアルコルが連星なのか重星なのかは、
確かな結論はまだ出ていないようです。

古の時代から肉眼のみの観察で二重星であることが
知られていましたが、17世紀に望遠鏡が発明されると
ミザール自体が連星であることがわかりました。

さらに分光観測が行われるようになった19世紀末に
ミザールの連星のひとつ・ミザールAが分光連星であることが
確認され、その後はミザールBとアルコルもそれぞれ
分光連星であることが確認されています。

★分光とは…

さまざまな波長が含まれている光を波長成分に分けること。

例えば「色」の違いは、可視光の波長の違いによって決まる。
プリズムを通った光は分光され、その結果、色が分かれる。

この性質を利用した「分光スペクトル」の観測により
複数の恒星からなることが検出できる連星のことを
「分光連星」という。

つまり、ミザールとアルコルは2個だけではなく
4連星系と連星、という合計6個の星の組み合わせなのです。

肉眼でこれら6個の星を確認することはできませんが
ミザールのアルコルを「2つの星」として
観察してみてはいかがでしょうか。

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