「もしもし」は実はNG?【ビジネスマナー】電話応対の基本とNGマナー

電話応対の基本マナーとNGマナー

【元社長秘書のマナー講座】vol. 32


新社会人が最初に身につけるべきマナーのひとつとして挙げられるのが、電話応対ではないでしょうか。しかし、ビジネスに限らず、現在はメールやチャットなど便利なコミュニケーションツールが増え、電話の使用頻度が減り、苦手意識があるという声を多く聞きます。「お客様から電話が来ただけでドキドキしてしまう」「この言葉使いで合っているのかな」など不安を抱えているかたも多いようです。

特にビジネスシーンでは、電話応対は会社の印象を大きく左右するので、失礼のないようしっかりとマナーを心得ておく必要があります。今回は、電話応対の基本マナーとNGマナーについてご紹介します。苦手意識があるかたはもちろんですが、そうでないかたも今一度確認していきましょう。


これだけ押さえておこう! 受電の基本手順5つ

電話応対の正しい基本手順は5つです。これさえ覚えておけば、あとは実践するだけ! 苦手意識の克服は、慣れるのが一番です。ぜひ、積極的に電話に出てみてくださいね。

1. 電話が鳴ったら3コール以内に出るのが鉄則

電話がかかってきたら3コール以内に受話器を取るのが基本マナー。3コール以上の場合は「お待たせいたしました」と一言添えましょう。

2. 会社名と自分の名前を先に名乗る

電話をとったら、相手が名乗る前に自分から「会社名」と「自分の名前」を伝えます。注意点は「もしもし」という言葉を最初に付けないことです。
例) お電話ありがとうございます。株式会社の××でございます。

3. 相手の名前を復唱・確認してメモを取る

相手が名乗り終わったら、復唱しすぐにメモを取るようにしましょう。復唱することで名前の聞き間違いを防ぐことができます。
例) いつもお世話になっております。株式会社の××様でいらっしゃいますね。

4. 相手が電話を切ったことを確認してから受話器を置く

電話はかけたほうが先に切るのが基本マナーです。相手が切ったことを確認できてから受話器を置きましょう。相手から電話を切ってくれない場合は、「お電話ありがとうございました。失礼いたします」などと伝えましょう。

5. 忘れないうちに伝言メモを書く

担当者が不在などで伝言を残す場合は、電話を終えたらできるだけ早く担当者のデスクに電話があったことを伝える伝言メモを残しておきましょう。伝言メモには「相手の会社名と名前」「電話があった日時」「用件」「折り返しの可否」「電話を受けた人の名前(自分の名前)」の5つを必ず書きましょう。担当者が戻り次第、口頭でも電話があったことを伝えておくとよいでしょう。


電話応対のNGマナー

やりがちな電話応対時のNGマナーを5つご紹介します。NGマナーの電話応対をしていないか、ぜひチェックしてみて下さいね。

1. 「もしもし」はビジネス電話ではNG

「もしもし」はビジネスシーンにおいてはNGです。元々は「申す、申す」の略語であり、略語を目上の相手に対して使うのは失礼であるというのが理由です。基本手順の2つ目で説明したように、ビジネスの電話を取るときの最初の一言は「お電話ありがとうございます。株式会社の××でございます」と伝えましょう。

2. 「よろしかったでしょうか?」はNG

現在のことを聞いているのに、過去形の「よろしかったでしょうか?」と訊いてしまうのはNGです。「〇〇でよろしいでしょうか?」が正解です。

3. 「お電話をお回しします」はNG

「電話を回す」という表現は、「たらい回し」を連想させ相手に対して失礼になるためNGです。「お電話をおつなぎします」が正解です。

4. 「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか」

相手の名前や電話番号を聞くときに使いがちな「~を頂戴する」という表現ですが、実はNGです。「頂戴する」という言葉は「もらう」の謙譲語です。名前は、もらったりあげたりする物ではないため、「聞く」の謙譲語である「伺う」という表現を使いましょう。「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」が正解です。

5. 「お声が小さくて聞き取れません」

相手の声が聞き取りにくいとき、「お声が小さくて聞き取れません」と話してしまいそうになりますが、聞こえにくいことを相手のせいにしている失礼な言い方となるためNGです。「お電話が少々遠いようです」と言うのが正解です。


おわりに

電話応対におけるビジネスマナーは、会社全体の印象を決める重要なものです。顔が見えない分、電話での応対が良いかどうかで印象は大きく変わります。電話が苦手というかたも、苦手意識を克服するには慣れるのが一番の方法です。言い回しや敬語など、つい間違えてしまいがちな電話応対のマナーですが、日頃から意識をしておきましょう。相手を思いやるおもてなしの心を忘れずに行動することが大切です。


<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。

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