5歳の子のママ友から「学資保険の加入が小学校入学まで」と聞いて慌てています。いろいろな保険会社で扱っていますが、何を基準に選べばいいですか?

学資保険の特徴

学資保険(「こども保険」とも言われます)は、親(原則として父または母)が保険契約者、子どもが被保険者となって契約します。これは子どもの将来に備える保険であり、3つの特徴があります。

__・契約時に定めた年齢になると祝金を、満期になると満期保険金を受け取ることができます。祝金や満期保険金の受け取り方には複数のタイプがあり、保険金の使い方に合わせて選択することができます(祝金がないタイプもあります)。

・保険期間中に、親などの保険契約者が死亡または高度障害状態になった場合、それ以降の保険料の支払いが免除されます。なお、保険会社によっては支払い免除が特約になっており、別途契約が必要になる場合があります。また、支払い免除になった場合に満期まで毎年年金を受け取れる「育英年金」の特約を付加できる商品もあります。

・保険期間中に、被保険者である子どもが死亡した場合、死亡保険金を受け取ることができます。__

学資保険は、保険契約者である親に万が一のことがあった場合でも、祝金や満期保険金を受け取る機能があるのが、最大の特徴です。また、学資保険の満期は17歳から22歳に設定されていることが多く、大学の学費の準備に向けた商品といえるでしょう。

学資保険のメリットとデメリット

教育資金を準備する方法は、学資保険だけではありません。預貯金や投資商品などで準備することもできるため、学資保険はメリットとデメリットを考えて加入しましょう。学資保険には、例えば次のようなメリットがあります。

__・保険契約者に万が一のことがあった場合、基本的に保険料の支払いが免除される。
・毎月または毎年保険料を払うため、計画的に教育資金を準備できる。
・所得税と住民税における、生命保険料控除の対象となる。__

逆に、次のようなデメリットもあります。

__・保険金の支払時期が決まっているため、簡単に引き出すことができない。
・途中解約した場合、解約返戻金が払った保険料より少なくなる場合がある。
・契約時に利回りが決まるため、契約のタイミングによっては、低い利回りで長期間運用することになる。__

積立の貯蓄や投資を活用して教育資金を準備したい人は、あえて学資保険を選択する必要はありません。また、低金利の時代は保険金の返戻率(後述)が低いため、学資保険に加入するメリットが少なく、貯蓄でよいかもしれません。

学資保険を選ぶポイント

学資保険に加入する際のポイントは主に3つあります。

返戻率を比較する

返戻率とは、払う保険料に対して、受け取る保険金が占める割合です。

返戻率=(受け取る祝い金や満期保険金の総額)/(支払う保険料の総額)×100

例えば、支払う保険料の総額が300万円、受け取る祝い金や満期保険金の総額が330万円であれば、返戻率は110%となります。返戻率が100%未満の場合は、いわゆる元本割れ商品となります。コストパフォーマンスの点で比較すると、返戻率の高い商品を選ぶとよいでしょう。

祝金や満期保険金の受け取り方を決める

学資保険には、次の例のように、保険金の受け取り方が異なる複数のタイプがあります。

__・18歳または17歳に、満期保険金を受け取るタイプ
・中学や高校などの入学時期には祝金、大学入学の時期には満期保険金を受け取るタイプ
・大学の4年間に、保険金を分割して受け取るタイプ__

各家庭の考え方に合わせて選ぶのがよいでしょう。

保険料の払込期間を決める

保険料の払込方法にも、次のように複数の種類があります。

__・保険期間が満期になるまで、一定の保険料を払う方法
・契約時に払込時期を保険期間より短く定め、その期間に集中して保険料を払う方法
・契約時に保険料をまとめて払う方法__

基本的に、保険料を保険会社に預けている期間が長いほど、返戻率は高くなります。

例えば、1歳に加入して18歳に受け取る学資保険であれば、1歳から18歳まで一定の保険料を払うより、1歳から10歳までの短期間で保険料を払う方が、支払う保険料の総額が少なくなり、返戻率は高くなります。

ただし、保険料の支払いが多くなると、家計に影響が出てくることもあるので、保険料は無理のない範囲で設定しましょう。

まとめ

教育資金、特に大学の学費は高額になるため、事前の準備が大切です。中でも学資保険は、教育資金準備の手段の1つとして有効です。学資保険の加入に当たっては、特徴やメリット・デメリットを確認しましょう。その上で返戻率を確認し、保険金の受け取り方法、保険料の支払い方法を検討して、商品を選ぶとよいでしょう。

出典

文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について

執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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