人間味あふれる「海上保安官物語」 3管PR動画、目指すは脱ヒーロー像

「海上保安官物語」の「妻編」の一場面。実在する巡視艇の女性船長をモデルにした(3管提供)

 海上保安官の認知度アップや人材確保のため、第3管区海上保安本部(横浜市中区)が今月、PR動画を公開した。目指したのは映画やドラマで根付いた「ヒーロー」というイメージからの脱却。職員の「人間味あふれる姿」に焦点を当て、プロの脚本家と映像監督に依頼し、性別も年齢も役割も違う3人のリアルな日常を、ドラマ仕立てで描くショートムービーに仕上げた。

 9日までに公開されたPR動画「海上保安官物語」は「妻編」「兄編」「父編」の計3本。いずれも2分半~4分程度にまとめた。

 「最近、妻が出世した。出世と言っても、いいことばかりでないのは、僕たち会社員と同じみたいだ」

 「妻編」は、夫のこんなナレーションから始まる。登場するのは、横浜港周辺での海難救助や海上犯罪の取り締まりなど幅広い業務で使用される巡視艇「はまぐも」の女性船長。多忙な業務をこなしつつ、部下の悩みや愚痴にも耳を傾け、優しく教え諭す。緊急の呼び出しで現場に急行するも「船長、誤報です」。帰投後、部下とデッキを磨きながら海の平穏を願う姿を写し、終わる。

 「兄編」は、夢見た潜水士の選考に落選するが、人事課に配属され、採用担当としてやりがいを見いだす男性職員を描写。「父編」は船艇で料理を振る舞い、乗組員の胃袋を満たしている補給長を、娘の視点で追った。

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