原宿系お笑いコンビ・いちばんかわいい「会ったときからビビッときた」

新進気鋭のお笑いコンビ「いちばんかわいい」が、そのユニークな魅力で注目を集めている。NSC東京校20期生のにににこーちゃんと23期生のさくら(^^)が、2022年7月に結成したこのコンビは、2023年6月に出演した『ラヴィット!』(TBS系)で一躍注目の存在になった。賞レース「耳心地いい-1グランプリ」では決勝に進出するなど、その勢いは止まるところを知らない。

原宿系ファッションの“かわいい”ビジュアルで、お笑いというジャンルに新たな風を吹き込んでいる二人。ニュースクランチは、彼女たちがなぜ芸人を目指し、どのようにして“笑い”と“かわいい”が交差する独自のスタイルを確立したのか、インタビューでその背景に迫った。

▲いちばんかわいい(さくら(^^) / にににこーちゃん)【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

最初は一緒に原宿に遊びに行く友達でした

――プロフィールの特技欄からも個性が滲み出ていますが、さくらさんが「柔道」、こーちゃんさんが「わたあめを作ること」でしたよね?

こーちゃん:はい! 今も原宿にあるわたあめ屋さんで働いています。

――原宿のわたあめといえば、普通の倍のサイズのやつですか?

こーちゃん:そうです! なので、バランスよく作るのがめっちゃむずかしいんですよ。

――さくらさんはいつから柔道を?

さくら:5歳から18歳まで13年間やりました。きっかけはちょっと覚えてないんですけど(笑)。受け身もバッチリできます!

――お二人が出会ったときの印象を聞かせてください。

こーちゃん:よしもとの先輩後輩だったんですけど、会ったときからビビッときました。

さくら:そうそう。でも、こーちゃんはピンで活動していて、私は別の人とコンビを組んでいたから、その頃は本当にただの友達。組むっていう話は、全く出なかったんです。普通に原宿に遊びに行くだけ(笑)。

――どういう流れでコンビを組むことになったんですか?

さくら:きっかけは『女芸人No.1決定戦THE W』です。こーちゃんは変わらずピンで活動していて、私もコンビを解散してピンで1年くらい活動していたんですよ。『W』はユニットでも出られるから、「ちょっとやってみる?」みたいな感じでサラっと声をかけたら、そのままいろんなライブに出てました。そしたら、みんなから「組みなよ!」って言われて、正式にコンビになりました。

――実際に組んでみて印象が変わった点はありますか?

こーちゃん:うーん……あんまりないかもしれないです。組んでも、あんまりお互いに変わんなかったよね。

さくら:ねー。遊んでたときのままって感じ。

▲コンビを組んでからも印象はあまり変わらないと語る二人

このファッションで帯広を歩くと三度見されます(笑)

――こーちゃんさんのピンネタって、どんなネタだったんですか?

こーちゃん:歌ネタです!

――「ピンでやりたい」っていうのは、強いこだわりがあったからですか?

こーちゃん:そうなんです。一人でやるって決めてました。というか、“可愛いことをやりたい”という気持ちが強すぎて、共感してもらえないだろうから、 誰とも組めないと思ってました(笑)。

――そうして生まれたのが「いちばんかわいい」だったんですね。表記がひらがなというところにもこだわりを感じますが、由来はなんですか?

さくら:これ、まだ外で誰にも言ってないんじゃない? 初めて言うよね?

こーちゃん:そうかも! 組む前に二人でプリクラを撮っていて、そこに「いちばんかわいい」って書いていたんです。それをそのまま使いました。

――原宿カルチャーに目覚めたのはいつだったんですか?

こーちゃん:もともと原宿系に分類されるようなファッションが好きではあったんですけど、“なんか、みんなと違う”ってことはずっと感じていて。でも原宿系に出会って、“あ! こういうのでもいいんだ”って。

さくら:私も小学生の頃から、原宿文化が好きでした。原宿のことは「夢みたいな場所」と思ってました。大人になったら、ここにすぐに来られるようなところに住みたいって思うくらい。それで、北海道から原宿に近づくために上京してNSCに入りました。東京だとあんまり視線を感じないですけど、帯広で今日のファッションで歩くと三度見されます(笑)。

――原宿ってお店の入れ替わりも含めて変化の多い場所じゃないですか。お二人はそんな原宿の変化をどう感じていますか?

こーちゃん:常に最先端であり続けてるな、と。

さくら:ずっと更新されていってる場所だよね。すぐに“ちょっと違うかも”と思ったお店はなくなって、また新しいお店に変わっているから。

こーちゃん:その辺の線引きが、原宿はシビアですね。

さくら:そうそう、常に変わり続けてないとダメだもん。でも、そこが好きです。

よしもとを選んだのは「∞ホールが可愛かったから」

—―芸人としての軸で言えば、吉本興業以外の事務所もあったかと思います。なぜNSCを選んだんですか?

こーちゃん:私がよしもとを選んだのは、∞ホールを見て、“劇場めっちゃ可愛い!”と思ったからです。お笑いのハコって、どこも可愛くないんですよ。

▲よしもとを選んだ独特な理由を教えてくれた、にににこーちゃん

――ブレないですね。さくらさんは?

さくら:わかんないな〜。何も考えてなかったかも。本当に原宿に行きたくて上京してきたんで、なんでもよかったんですよ。

――でも、タレントじゃなくて、そこは芸人だった。

さくら:そうですね。私、学校で面白かったんですよ(笑)。……というのは置いといて、そもそもお笑いが大好きでしたし、お笑い大ファンのいとこが埼玉に住んでたんですけど、遊びに行ったときに、よく雑誌とかを見せてくれたんですよね。

その流れで実際にNSC入ってみたら、みんなお笑い好きなはずなのに、なぜか暗めな感じの人が多くてびっくりしました。私みたいな人がいっぱいいると思ったら、全然いなくて。お笑いマニアみたいな感じの人がブツブツ語ってたり。「金属バットさんが〜」って言われても、当時は金属バットさんを知らなかったので「誰!?」って感じでした。

▲原宿に行きたくて北海道から上京を決意した、さくら(^^)

『ラヴィット!』後のコメントがぴえんだった

――ネタはどちらが作っているんですか?

こーちゃん:全部魔法です!

――なるほど……では、聞き方を変えます(笑)。トラック作りに関しては、どちらが魔法使いですか?

さくら:トラックはこーちゃん!

こーちゃん:音楽とか全然やってなかったんですけど、可愛いものを作りたくてやってたら、こうなっていました。

――Youtubeの企画は、どちらが魔法を使っているのでしょうか?

こーちゃん:企画に関しては、二人で話してて面白かったことをそのままやってるって感じです。部屋のものは全部私物なので。あれだけあるんだったら、YouTube撮影できる感じにしようと思って。

――どの動画も面白いのですが、特にアンチコメントを読み上げる企画、最高でした。

こーちゃん:『ラヴィット!』に出演したとき、朝の時間帯だし、いろんな人が見てるからアンチコメントが多くて。 私、アンチコメントを探すのが好きなんですよ。それで二人でずっと笑いながらコメント見てて、「これ動画にしたほうがいいね!」って。

――ポジティブに受け取れたんですね。

こーちゃん:面白いコメントだったからです(笑)。

〇ラヴィット後のコメントがぴえんだった件

――日常生活でも、イラッと感じる瞬間はあまりないですか?

さくら:いや、めっちゃキレます(笑)。しかも言っちゃう!

こーちゃん:でも、1回怒ったら切り替えが早いんですよ。

――『ラヴィット!』への出演は緊張しましたか?

さくら:いや〜……曲流してるだけなんで…(笑)。

こーちゃん:ね。間違えたとしても、「間違えたっしょ!」みたいな感じでポジティブに乗り切れると思います。

――『ラヴィット!』出演の前後で変わったことは?

こーちゃん:お客さんからの反応は全然変わってないです。

さくら:先輩がめっちゃ私たちの歌を歌ってくれます。あとは後輩が挨拶するようになったかな(笑)。

▲先輩が自分たちの歌を歌ってくれるようになったね

この楽屋はカウス師匠が使うんですよ!?

――テレビ出演から一躍注目の存在になりましたが、先輩や作家さんから言われたアドバイスで、印象的なものはありますか?

こーちゃん:「好きなようにやればいい」って言われたね。

さくら:うん。あと、「トラックの音質をもっと綺麗にしたほうがいい」とか? これは山田ナビスコさん(ライブ作家)に言われました。

こーちゃん:悔しい〜!

さくら:でも、先輩芸人の方には「めっちゃいいね」と言ってもらえてて、うれしいです!

――さくらさんは、ヨネダ2000の誠さんと同期ですよね。

さくら:そうです。昔から仲が良くて。私のお洋服は派手なものが多いから、私の部屋でファッションショーを朝の5時までやったりしてました。なかなか友達ができなかったときも、一緒にキャッチボールとかしてくれたんですよ!

――これまでで印象的だったライブを教えてください。

さくら:あれじゃない? 『RGが90分あるあるを歌い続け、いちばんかわいいがわんわんパンパンポメラニアンし続ける会によぴぴがはろはろするにゃん』。会場が京都の祇園花月だったんですけど、私たちが初めて関西の劇場に立ったライブだったんです。

こーちゃん:やっぱり、関西だからお笑いに厳しいのかな?って、ドキドキしながら行って。しかも、セリ(舞台上の一部を四角く切り抜いた昇降装置)でやるライブで。曲は『可愛くてごめん』で登場させてもらって最高でした!

――祇園の劇場は可愛かったですか?

こーちゃん:うーん……建物的にはあんまり可愛くなかったかも(笑)。

さくら:全体的に歴史がある感じで控室もちょっと渋い感じでした。それで勝手にシュッシュッって香水をふっていたら、社員さんが凄く慌てて換気し出して「すみません……明日ここ、カウス師匠が使うんですよ」って言われて(笑)。めっちゃ焦りました。

こーちゃん:あははっ。

▲会ったときからビビッときた仲のいい二人

――お互いの良いところを教えてください。

さくら:めっちゃ優しいんです。

こーちゃん:はっきり言えるところ。お互いなんでも言える関係です。

――本当に仲良しですね。お二人にとっての憧れの存在が知りたいです。

こーちゃん:「キキ&ララ」です! 私がサンリオが好きで、さくらに布教中なんです。

さくら:私はディズニー派なので。でも、二人でディズニーにも行くし、一緒に楽しんでいます。

――最後に、今後の目標を教えてください。こーちゃんさんは「シナモンくんとコントをすること」とX(旧Twitter)に書かれていましたが……。

こーちゃん:ですね! シナモンくんが大好きなので。

さくら:あと、サマソニ出たいね。

こーちゃん:めっちゃ出たい! サマソニ目指して頑張ります!

(取材:すなくじら)


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