「日本の美しい体操を見せられる」 20歳スター候補の岡に水鳥強化本部長も期待「橋本と二枚看板に」

体操の個人総合で2位となった岡慎之助【写真:中戸川知世】

個人総合全日本選手男子決勝

体操の個人総合全日本選手男子決勝が14日、パリ五輪代表2次選考会を兼ねて群馬・高崎アリーナで行われ、20歳の岡慎之助(徳洲会)が五輪代表「圏内」の2位につけた。予選2位の岡は決勝でもスコアを伸ばし、優勝した橋本大輝(22=セントラルスポーツ)に次ぐ合計得点172.264をマーク。今大会で初めて表彰台に立ち、5月のNHK杯の合計点で争うパリ五輪の代表入りへ前進した。

「ミスを引きずらなかったのがよかった」と振り返ったのは、2種目めのあん馬で落下した場面。大きな過失で予選より1点以上得点を落としたが、次のつり輪ではノーミスの演技で14.466。その後も高得点を並べて2位に滑り込んだ。すでに内定している橋本を除き、残る代表枠は4。5月のNHK杯との合計得点で2人とチーム貢献度で2人が選ばれる。「目標は五輪代表になること。2位は嬉しい」と話した。

あん馬でのミス直後、指導を受けるアテネ五輪金メダリストの米田功監督から声をかけられた。「欲張らず、いつも通りに」。ミスには触れず、次のつり輪への助言だった。「もともとは引きずるタイプだったけど、切り替えることができた」と岡。練習からメンタル面で切り替えの重要性を繰り返してきたのが本番で生きた。

15歳の時に世界ジュニア選手権で個人総合、団体総合2冠を獲得。中学卒業後に徳洲会入りし、社会人選手たちと一緒に練習を積んできた。一昨年には右膝十字靭帯断裂の大けがを負ったが、昨季復帰。今年はパリ五輪出場を最大の目標に置く。

大きなミスをしながらも高得点を叩き出す底力がある。日本協会の水鳥寿思・男子強化本部長は「ミスがなくなれば得点はさらに上がる。橋本との二枚看板になれる可能性もある」と絶賛。さらに「内村(航平)や橋本のように、日本が誇る美しい体操を見せることができる」と期待した。

「絶対にパリに行くんだという気持ちを持って、NHK杯に臨みたい」と岡。パリ五輪に向けて、日本体操界に新しいスター候補が飛び出した。(荻島 弘一)

THE ANSWER編集部

© 株式会社Creative2