謎が深まる100万ユーロの出どころ。ネイマールの父親? デパイ? ダニ・アウベスの保釈金は誰が払ったのか【現地発】

バルセロナ、ブラジル代表などで長年に渡って活躍し、「世界歴代有数の右SB」と称賛され、クラブと代表で計41ものタイトルを獲得したダニエウ・アウベス(40)が、屈辱にまみれている。

D・アウベスは2022年末にバルセロナのナイトクラブのトイレに若い女性を連れ込み、性的暴行に及んだとして逮捕されていた。被害者側は懲役12年の刑を求め、D・アウベス側は「合意の上での行為」として無罪を主張。今年2月、バルセロナ地裁で懲役4年半の実刑判決が下ったが、双方が控訴。D・アウベスは引き続き刑務所に留め置かれた(刑務所内で自殺したとの噂が流れたが、これは事実ではなかった)。

状況が変わったのは3月下旬。保釈金100万ユーロ(約1億5500万円)を支払い、仮釈放が認められたのだ。ただ、その金額を即座に用意できたわけではなかったこともあり、「誰が保釈金を用意したのか」が話題になっている。

D・アウベスの総資産は、推定6000万ユーロ(約93億円)。本来なら問題なく払えるはずだ。しかし、前妻から2児の養育費不払いで訴えられていて、資産が凍結されている。

2月の判決前、D・アウベスは刑の軽減を狙って女性へ17万5000ユーロ(約2700万円)の慰謝料を払ったが、代金はネイマールの父親が肩代わりした。今回もネイマールの父親に支払いを依頼したが、「有罪判決が出て、状況が変わった」という理由で拒まれた。

【PHOTO】C・ロナウド、ネイマール、ポグバetc…世界的名手たちが誇るスーパーカーを厳選&一挙紹介!
その後、「スペインの複数の銀行に融資を求めたが、ことごとく拒否された」と報じられ、さらに「バルセロナ時代の同僚で親交が深いメンフィス・デパイ(現アトレティコ・マドリー)が払った」という説が浮上したが、真相は不明。「ブラジルの有力週刊誌が独占インタビューを条件に肩代わりした」とも報じられたが、当の週刊誌が否定しており、現時点では謎のままだ。

いずれにせよ、今回の騒動でD・アウベスの地位と名声は一気に崩れた。生まれ故郷では市が栄誉を称えて銅像を建立したが、多くの人が「市の恥だ」として撤去を求めている。

世界各国で選手の性的暴行事件が後を絶たない。ブラジルのクラブ関係者も、「女性や金銭を巡るトラブルには十分に気を付けろ、と選手には繰り返し伝えているのだが……」

と頭を抱えている。

文●沢田啓明

【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。

© 日本スポーツ企画出版社